研究課題/領域番号 |
23K05422
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
黄 孝春 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (10234684)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 農産物知財 / ライセンスビジネス / 弱い育成者権 / 強い育成者権 / りんご産業 / クラブ制 / 育成者権 / 商標権 |
研究開始時の研究の概要 |
欧米は、農産物知的財産により強い所有権を与え、リンゴ産業では品種経営のようなビジネスモデルが生まれたのに対して、リンゴの品種育成に大きな実績をもつ日本は弱い育成者権のもとで品種経営のような実践例がなかなか現れなかった。 本研究は日本のリンゴ産業を研究対象に、弱い育成者権の設定と行使が優良品種の保護活用という実際のビジネス活動に与えた影響について分析するとともに、今後強い育成者権を適用していくなかで、品種経営が実施されるための条件と課題を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は強い育成者権に基づいて実践される欧米のリンゴ新品種の経営実態と比較して、脆弱な育成者権下における日本のリンゴ産業の品種経営が直面するリスクを解明するとともに、今後育成者権の強化に伴う品種経営の実践に予想される諸課題、とくに公的機関が開発した新品種の扱いや、育成者権の運営主体の設置を分析し、農産物の付加価値や農業競争力の向上に寄与することを目的としている。 そのような研究目的を達成するために、文献研究を行うと同時に、日本国内のリンゴ品種開発機関が育成した新品種の商業化プロセスを聞き取り調査した。日本のリンゴ産地では産地化を優先し、新品種を知財として保護活用する意識が低いこと、また産地化に当たって苗木業者に新品種の繁殖を委託する際に徴収する使用料は非常に少ないことが分かった。 一方、近年、種苗法の改正で育成者権の強化が進められているが、公的機関によって育成した新品種の専用利用権を特定の業者に与えることに抵抗がなお強い。今後、それをラインセンスする手続きや合法性に工夫することが課題とされる。国内市場において日本のリンゴ産地における経営実態に合わせて育成者権と商標権の保護活用を行いながら、より多くの農家に新品種を利用しやすい制度の構築が求められる。他方、海外市場において積極的にライセンスビジネスを展開し、許諾料を徴収して国内研究機関に育種資金を還元する仕組みの模索が急務となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルスの影響を受けて2023年度まで延長した基盤研究(C)20K06273における海外調査実施のための準備とその調査結果の整理が相当な時間を要し、本研究課題の実施に十分な時間を確保できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
基盤研究(C)20K06273及び本研究課題は、ともにリンゴ産業におけるライセンス・ビジネスを対象とした継続性のある研究テーマであるが、20K06273における海外調査にて入手した資料において本研究課題に応用できるものがあるため、まずはその整理と分析を急ぎたい。またこれまでリンゴの研究を通じて構築してきた県内外の研究者ネットワークを活用し、共同研究を一層推進したい。
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