研究課題/領域番号 |
23K05430
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
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研究機関 | 公立鳥取環境大学 |
研究代表者 |
山口 創 公立鳥取環境大学, 環境学部, 准教授 (10709281)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | ナレッジ・マネジメント / 有機農業 / コミュニティ / 環境保全型農業 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は有機農業における生産知識のナレッジマネジメント構造を明らかにする。具体的には,一般有機農業者,熟達有機農業者の有する生産知識を調査,比較し,(A)熟達有機農業者の「優れた知識」の特性と創造プロセスを解明する。そして,普及センターや農業試験場が取り組む知識普及、有機農業者コミュニティにおける形式知,暗黙知の共有・創造の実態を調査・分析し,(B)有機農業におけるナレッジマネジメント構造を明らかにする。以上の結果を統合し,有機農業者の優れた知識の展開や育成に向けた方策を掲示する。
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研究実績の概要 |
慣行農業を対象とした先行研究やナレッジマネジメント研究では、知識共有・創造の場としてコミュニティの重要性が指摘されており、本研究の課題である有機農業におけるナレッジマネジメント構造を解明する上でも、有機農家コミュニティが知識共有・創造においてどのような機能を有しているのか、明らかにする必要がある。 本年度は、まず兵庫県A市にてニンジン等の共同出荷をおこなう若手有機農家コミュニティを対象に生産知識の共有や創造の実態をインタビュー調査にて明らかにした。なおインタビュー調査はコミュニティに参加する7名全員におこなった。結果、有機農家コミュニティは情報交換の場としてだけでなく、問題発生時には課題解決策を導き出す知識創造の場として機能していることが示された。特に、このコミュニティの機能は有機農業歴の浅い農家から、技術向上や収量・品質向上に貢献していると高く評価されていた。 次に、有機農家の農法の発展プロセスに関するインタビュー調査を、兵庫県A市の有機農家5名を対象におこなった。結果、A市の有機農家に広く知られている共通の有機農法と各農家が研修先で得た知識・技術を合わせて各農家固有の農法を構築していることが示された。 さらに、有機農業における地域固有の伝統農法の援用可能性についても検討した。資源循環型農法の一つと捉えられる伝統的農法が広く残る徳島県B地区を事例に7名の農家にインタビュー調査を行い、慣行農業が普及するなか伝統的な資源循環農法がどのように変化したのか、時系列的に調査分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の中心課題である有機農家コミュニティのナレッジマネジメント活動、有機農家の固有農法の確立プロセスに関する調査をすすめた結果、分析枠組みを構築することができた。次年度以降、継続して調査事例を増やしていくことにより、学術論文等で研究成果を公表できると考えている。加えて予備調査をすすめた結果、鳥取県における調査対象コミュニティも複数確保することができた。また関係機関との協力体制も構築できため、円滑に調査を進めることができると考えている。 一方で、兵庫県A市にてこれまで調査先の選定等で協力関係にあったカウンターパートが異動し、今後、調査協力を得づらい状況となった。今後更なる調査対象を広げていく上でカウンターパートの確保が不可欠であり、今後関係機関と連携をとり調査体制を再構築していきたい。 これらの状況を踏まえ、本研究はおおむね順調に進展していると考えた。
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今後の研究の推進方策 |
調査サンプルを増やしていく上で、カウンターパートの確保が必要である。鳥取県での有機農家のインタビュー調査については、普及センター等の関係機関と協力関係を構築できており、すでに調査対象の選定等の支援を受けている。本年度、主に調査をすすめてきた兵庫県A市においても関係機関との連携をすすめ、より円滑に調査をすすめることができるように協力体制を構築したい。
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