研究課題/領域番号 |
23K05434
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
大木 茂 麻布大学, 獣医学部, 教授 (00329195)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アニマルウェルフェア / フードシステム / 東アジア / 経営類型 / 鶏卵 / 公的規制 / 生産構造 / 鳥インフルエンザの影響 / 経営構造・類型 / 加工・販売 / 消費構造 / 消費者意識 |
研究開始時の研究の概要 |
対象を採卵鶏経営・企業としAW配慮型経営を類型化する。その際生産以外の加工・販売を加える。方法は、AW配慮経営をリスト化し、統計分析・質問紙調査、インタビュー調査により、経営の規模別の類型を整理する。その上で、平飼い卵の統計がないため、家計調査・小売物価統計や小売店頭調査、POSデータを用いて、平飼い卵の販売動向の概観を得る。さらに、消費者意識調査により、支払い意思額ならびに購入に際しての必須条件と望ましい条件の違いを明らかにする。こうした経営の類型化と流通の特徴、消費者の意識をむずびつける方策を考察することで、単純な生産コストがAW配慮生産動向を決するわけでないことを明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、日本におけるアニマルウェルフェア(AW)配慮型畜産経営の存立基盤を研究するために、公的統計データを中心にその入手と解析を主に行った。その結果、予めある程度予測されていたことだが、日本では欧米と異なり、AW配慮型生産物ないし生産の統計が存在しないこと・そもそもそうした生産経営が少ないことから、統計的把握に大きな困難があることをが改めて明らかになった。そこで公的統計にこだわらずに、民間の団体などが所有するデータ・情報を活用しながら限定的な畜種と枠組みによって、AW配慮型経営の現状の存立構造・存立基盤を明かにする方針を再設定することとした。 同時に、経営類型化に際して加工・販売を踏まえる意味から、特に鶏卵においてAWの進捗度合いが類似している東アジア(台湾・香港・韓国など)と、AWの先進的地域の1つである米国・英国におけるAW配慮食品の商品・流通実態から学ぶべき事柄を得ようと、それぞれ現地流通販売実態調査を、小売店頭調査を中心に行った。 米英は現在分析を進めているところだが、東アジアは、生産構造、鳥インフルエンザの影響、食品の信頼をめぐる社会状況、農場から食卓までの衛生管理の課題といった要因の違いが、法的規制の違いに繋がっていると推察された。そこでこうした成果に関して学会報告でディスカッションを試みた。文章化には至っていないが、所属する日本農業市場学会における国際交流事業にて2024年7月に韓国食品流通学会で類似の報告を行うこととなり、韓国の公的規制が日本を上回っている背景やその要因についてより総合的で的確な理解を得るための調査を更に進め、韓国の研究者とのディスカッションを行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本科研の研究テーマは「AW配慮型畜産の経営的存立基盤の研究ー加工・販売を含む類型化」であるが、2023年度開始前に取りかかっていた東アジアとの比較、欧米との比較が、コロナ禍が開けて海外出張がし易くなったことなどにより再会したことから時間的な不足が生じた。そのため、AW畜産の類型化に際してまず必要な統計的整理の時間が十分に確保できていない。本年も、前期は韓国での学会発表準備とその原稿化で時間を取られるため、今年も遅れが予想される。 ただし、今年度後半からは畜種ごとのAW経営類型化に必要なデータの整理に取りかかれるので、進捗が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
東アジアにおけるAW公的規制の進捗状況を鶏卵を軸に研究した2023年の延長上で、鶏卵の需給構造、採卵鶏の生産構造、食品の信頼、飼養衛生管理問題、過剰政策、価格政策、農業への補助など、総合的な比較を行うことで、日本の畜産経営の存立基盤の分析と類型化に多くの示唆をえることが出来ると考えている。韓国との鶏卵比較を軸に、経営存立基盤の分析視角を確立し、他の畜種も含めたAW経営存立条件の課題整理をっていく。 2024年度は、述べたように、韓国との比較を整理し、学会報告・論文化することですることで、AW配慮生産経営存立のための分析軸を明確にする。 その上で、採卵鶏経営(可能であればブロイラー経営も)に、経営へのアンケート調査を実施して、現在の経営構造の類型化Ver1を試みる。 2025年度は、その類型ごとに数経営をピックアップして、インタビューを行い、AW配慮経営を可能にしたポイントを析出する。それを整理することで検証のための再アンケートを行って、政策立案に資する示唆をえる。
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