研究課題/領域番号 |
23K05445
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
柴田 俊文 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (30342546)
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研究分担者 |
西村 伸一 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (30198501)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 農業用水路トンネル / 宇宙線ミュー粒子 / 多方向載荷試験 / 宇宙線ミューオン |
研究開始時の研究の概要 |
農業用水路トンネルは南海トラフ地震のような大規模な地震により損傷を受けることが指摘されており,耐震化が課題となっている.大規模地震による損傷は,地質不良区間で発生することが多いため,この区間の地盤の情報を得ることが重要となる.本申請課題では,宇宙線ミュー粒子探査により地質不良区間の密度を求め,この情報を基に数値解析と模型実験を実施し,トンネルの補強の工法を再現して耐震補強を評価する.
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研究実績の概要 |
本申請課題では,通水期でも計測可能であり,かつ地質不良区間の境界部で移動計測が可能な水陸両用型移動計測装置を用いて宇宙線ミュー粒子探査を行い,既往の方法では調査が難しかった領域の三次元の密度分布を推定する.また,模型実験により三次元方向の荷重と変形・変状の関係を明らかにし,三次元の密度情報と実験結果からトンネルに作用する地圧を逆解析で同定し,耐震化対策を検討することを目的とする. 第一に,移動式ミューオン計測装置の試作を行い,農業用水路トンネルでの測定時における課題(例えば,移動/固定の方法,電源の確保など)の洗い出しを行う.並行して,対象とする農業用水路トンネルの諸元や地盤の状況を確認する.第二に,地山,トンネル覆工,背面空洞を考慮した多方向載荷試験を行う.実験の際には,荷重計,変位計,ひずみゲージ,デジタルビデオカメラを用い,載荷荷重,載荷板変位,内空変位,トンネル覆工のひずみ,ひび割れ発生状況などを測定する.また,水セメント比を変化させて低強度の地山を作製し,鉛直載荷荷重を変化させて実験を実施し,作用させた荷重に対する地山やトンネル覆工の変形や相互作用を細部まで把握する.一方で,有限要素法およびRBSM(剛体ばねモデル:Rigid Bodies-Spring Model)で地山とトンネル覆工をモデル化し,数値解析を行う.数値解析では,ひび割れ発生時の荷重や,荷重に対するひずみの変化と内空変位の状況などを把握し,実験値と比較する.逆解析手法などを援用することで,作用する荷重の推定を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象とする農業用水路トンネルの断面の寸法を考慮に入れ,移動式ミューオン計測装置の試作を行い,トンネル測定時における課題の洗い出しを行った.その際,試験機の固定,電源確保や角度変化の方法,測定装置の管理方法,トンネル内の通水状況,外気温と測定装置の耐性,地山の状況などを考慮した.ただし,装置の作製に時間がかかっており,進捗状況はやや遅れている状況である.次に,水セメント比を変えた低強度の地山を作製し,多方向載荷試験を実施した.地山中央には背面空洞を有するトンネル覆工を配置し,荷重計,接触式変位計,非接触式変位計,ひずみゲージ,デジタルビデオカメラにより,荷重,載荷板変位,内空変位量,ひずみ(覆工上部,下部,左右側面部,背面空洞端部近傍),ひび割れ発生状況を記録した.実験結果より,トンネル覆工の変形性状とひずみとひび割れ発生状況の関連,地山とトンネル覆工との相互作用などを確認することができた.あわせて,有限要素法のアプリケーションCalculiXを用いて地山とトンネル覆工をモデル化し,数値解析を行った.
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今後の研究の推進方策 |
農業用水路トンネルに検出装置および計測装置を設置して計測を行い,測定したミューオンの個数から密度を換算し,既往の密度試験の結果と比較することで,精度を確認する.その際,試験機の固定および移動方法,安定した電源の供給,測定装置の管理方法などについて確認を行う.また,二つの検出装置の角度を変化させ,測定対象の地盤の絞り込みの効果について検討する. 次に,前年度に行った模型実験との同様の条件で有限要素法の数値解析を行い,ひび割れの発生時期と進展状況,内空変位の変化などから作用する荷重の推定を行う.実際の地山で測定できる項目を念頭におき,逆解析手法などを援用して荷重を同定する.また,ロックボルト工や裏込め注入工といった耐震対策工法について,数値解析で検討を行う. また,有限要素法に加え,RBSM(剛体ばねモデル:Rigid Bodies-Spring Model)の数値解析を行う.背面空洞を有する場合のトンネル覆工の挙動は,微小変形理論では説明がつかない可能性があるため,有限変形理論の導入について検討を行う.
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