研究課題/領域番号 |
23K05454
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
有吉 充 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, チーム長 (10414442)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | スラスト力 / 埋設管 / 耐震対策 / パイプ / 屈曲部 / T字管 / プレキャスト工法 / パイプライン |
研究開始時の研究の概要 |
農業用パイプの屈曲部やT字管には、内圧によってスラスト力が作用するため、管が動かないように現場打ちコンクリートによりスラストブロックを設置する。しかし、地震の際に、液状化等によりスラスト抵抗力が低下し、管が動いて、漏水事故が頻発している。劣化による破損もスラスト力の箇所で多い。 事故の復旧では、地盤を開削し管路を修復した後、地盤を埋戻す。屈曲部やT字管等であれば、コンクリートを現場で打設した後、養生期間が必要なため、工事期間は長くなり、復旧コストは増加する。そこで、本研究では、スラスト抵抗力を合理的に評価できる設計手法を考案し、耐震性及び経済性に優れるプレキャストのスラストブロックを開発する。
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研究実績の概要 |
農業用パイプの屈曲部やT字管部には、内圧によって管を動かそうとするスラスト力が作用するため、管が動かないように現場打ちコンクリートによりスラストブロックを設置している。しかし、大規模な地震の際には、管が動いて、継手部で離脱する漏水事故が頻発している。また、疲労による管の破損もT字管等のスラスト力が作用している箇所で多い。漏水事故の復旧では、地盤を開削して破損箇所の管路を修復した後、スラスト対策でコンクリートを現場で打設・養生するため、工事期間が長くなり、復旧コストも増加する。 そこで、本研究では、スラスト部の漏水事故を防止するため、スラスト抵抗力を合理的に評価し、耐震性及び経済性に優れるプレキャストのスラスト対策工法を開発する。従来のスラストブロックとは異なる形状や材料を用いた工法で、実大規模の模型実験や振動実験を行い、その効果を検証する。 今年度は、コンクリートブロックとプラスチック材料を用いたスラスト対策工法の有効性を検証するための複数の模型実験を行った。模型実験では、φ200のT字管とT字管に塩ビ管を接続した模型管路を地中に埋設し、内圧を負荷して管にスラスト力が作用する状態を再現した。管の背面にスラスト対策を施し、内圧負荷時の管の変位量から、対策工法の有効性を検証した。なお、地盤の液状化や、締固めが十分に行われていない条件を想定し、地盤の密度は低く設定した。 実験結果から、コンクリートブロックを用いた工法では、スラスト抵抗力の増加効果がみられなかったが、プラスチック材料を用いた工法では、スラスト抵抗力が大きく増加することを確認した。今後、コンクリートブロックやプラスチック材料の形状、地盤の条件を変更した模型実験を引き続き行い、その効果を検証するとともに、スラスト抵抗力の評価手法を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、当初の計画通りの実験を実施し、研究はおおむね順調に進展している。具体的には、コンクリートブロックとプラスチック材料を用いたスラスト対策工法の有効性を検証するため、地盤の密度が低く管にとっては厳しい条件での模型実験を行った。実験結果から、プラスチック材料を用いた工法では、スラスト抵抗力が増加すること等を確認した。今後、R5年度及び今後実施する実験の結果等を踏まえ、知財化及び成果の公表を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
R5年度は、コンクリートブロックとプラスチック材料を用いたスラスト対策工法の有効性を検証するため、地盤の密度が低く、厳しい条件での模型実験を行った。今年度は、地盤の密度が高く、施工が適切に行われている現場等、より安全な条件での模型実験等を行う。これにより、異なる地盤条件下での提案するスラスト対策工法の有効性を検証することができる。さらに、R7年度は、耐震性能を検証するための振動実験を予定している。 現行の設計方法では、現地盤と埋戻し地盤を同じものとしてスラスト抵抗力を算定しているが、実際には、現地盤と埋戻し地盤は、剛性や強度が異なり、スラスト抵抗力も異なる。現場でも現地盤は健全なまま埋戻し地盤の範囲内で管が大きく動くことが多く見られるため、設計においても、現地盤と埋戻し地盤を別々に扱う方が合理的である。模型実験を通じて、より実態に即した設計手法を検討する。 今後、これらの実験及び設計方法の検討を通じて、耐震性及び経済性に優れるプレキャストのスラスト対策工法を開発することを目指す。
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