研究課題/領域番号 |
23K05463
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
小寺 昭彦 茨城大学, 地球・地域環境共創機構, 講師 (10435589)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 気候変動適応 / 作付暦 / 失敗学 / レジリエンス / 洪水被害 / 干ばつ被害 / 衛星リモートセンシング / 栽培管理 |
研究開始時の研究の概要 |
アジア各地域の稲作の作付暦は極めて多様で複雑であるが、自然環境条件や栽培技術の違いだけでは説明できない部分も多い。作付けの意思決定者である耕作者は、変動する自然環境と利用可能な技術の制限の中で生産性を最大化し、かつ災害や環境変動等による栽培の失敗を回避するよう、長年の経験や知識に基づいて作付暦を発展させてきた。 本研究では、失敗の経験と記憶がその後の適応行動に影響するとする仮説について、衛星画像や現地調査で得られた情報を用いて検証し、各地域の作付暦の成立過程について明らかにしていく。さらに作付暦推定モデルと評価指標を提案し、各地域の稲作の気候変動に対するレジリエンスについて評価を試みる。
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研究実績の概要 |
本研究の目的はアジア各地域の稲作における多様な作付暦の成立過程と気候レジリエンスについて環境変化への適応行動と失敗の観点から明らかにすることである。令和5年度は研究計画のうち、作付暦と作付失敗に関する事例収集と因果関係の検証をメコンデルタ沿岸地域で進めた。作付暦に関してはMODIS時系列衛星画像を解析して過去20年間の作付暦マップを作成し、そこから特徴的な作付暦の変化を抽出した。また衛星画像解析結果の検証および作付けの失敗事例を収集するためメコンデルタの沿岸部に位置するベトナム・ソクチャン省にて現地調査を実施した。 この地域の稲作は塩水遡上の影響を強く受け、作付暦は塩水遡上の発生期間を避けるように発展してきた。近年は水門の整備により農地や水路への塩水侵入が緩和され、栽培可能期間が長くなったことで作付暦も作付回数が増加するように変化した。Tran De県では2001年から2003年にかけて3期作農地が拡大したが、2004年に塩水遡上の時期が早まり栽培時期と重なったため壊滅的な被害を受けた。その失敗の経験を踏まえ以降はその時期を避けた2期作の作付暦に再び戻すようになった。しかしその後は大規模な塩水遡上もなく、数年後には再び3期作が行われるようになっている。また最近では同県の一部の地域において新たな被害が頻発していることが観察された。直接的な塩害ではなく、塩水遡上の影響で灌漑が行えないため水田は一時的な干ばつ状態となる。さらにこの干ばつ被害が広がった原因として、気候の変化で以前よりも干ばつの進行が急激になっている可能性があることが聞き取りから示唆された。今後はその検証と対する農家の適応行動を作付暦の変化を通して検証していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の研究計画の内、計画していた全ての現地調査を実施することができなかったため来年度の継続課題となる。
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今後の研究の推進方策 |
R6年度は当初計画通り、現地事例収集調査と衛星画像解析を引き続き実施するとともに、作付け暦モデルの構築を着手する計画である。
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