研究課題/領域番号 |
23K05470
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
長島 啓子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (40582987)
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研究分担者 |
神代 圭輔 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00548448)
中澤 昌彦 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90455262)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 立木強度 / 原木強度 / 採材位置 / UAVレーザ測量 / RFタグ / レーザ測量 / 立地環境 / 本数密度 / 形状 |
研究開始時の研究の概要 |
不振の続く林業振興策の一環として、「量」の情報共有による需給マッチングが進められてきた。しかし、原木取引で重要な「強度」の情報共有は成されていないため、非効率的な原木取引が継続している。これは、立木や原木の「強度」の簡便な推定方法が確立されていないためである。このため本研究は、立木強度から原木強度を予測するモデルの構築を行うとともに、立地環境など立木強度を左右する要因を把握した上で、立木強度を予測するモデルの構築を試みる。本研究により、立木及び原木の強度の推定が可能となれば、原木強度を把握した計画的な立木の伐採・原木生産、強度を提示した原木販売と製材後の強度を予想できる原木の調達が可能となる。
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研究実績の概要 |
本研究ではレーザ測量やRFタグなどのIoTを用いて(1)立木強度から原木強度を予測する原木強度予測モデルの構築と検証、(2)立木強度を左右する要因の把握と立木強度予測モデルの構築を行うことを目的としている。 初年度の本年はまずスギ林の間伐地において、間伐前調査としてUAVレーザ測量及び地上レーザ測量を実施し、立木の位置図を作成した。現地では全立木を対象に立木番号の記載、直径と樹高の測定、応力波測定器(FAKOPP)による立木の強度調査を実施した。さらに立木にRFタグを試験的に取り付け、林内にてRFタグの読み取りの検証も行ったが、林内ではタグ情報が読み取れなかったことから、立木に用いるタグのあり方についてさらに検討が必要と考えられた。間伐時調査では、伐採前の立木と得られた原木を紐付けできるよう、伐採時に伐採された原木の木口に立木番号と採材位置(1-6番玉)の記載を行った。その上で、原木強度を簡易型原木強度測定器HG-2020用いて測定を行い、原木の木口にRFタグを貼付した。 目的(1)では、得られた立木強度と原木強度との関係を採材位置も考慮して整理を行った。その結果、立木の強度と原木の一番玉の強度との間には相関が見られた。また原木の強度は、立木の採材位置に関係なくE70と一定であったものが40%、一番玉がE70と弱く二番玉以上がE90と強くなるものが47%、一番玉がE90で二番玉以上がE70となったものが14%と、3つのパターンに分類された。目的(2)では、UAVレーザ測量データを用いてスギの立木強度と凹凸地形、樹冠情報、実測した胸高直径・樹高との関係解析を行った。その結果、立木強度は胸高直径及び立木の点群の高さ別の点群数の平均値と強い関係が示された。凹凸地形との関係は見出されなかったことから、堆積様式等ほかの立地環境要因との関係を検証する必要があると言えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の本年は、間伐前調査及び間伐時調査の実施を行うとともに、目的(1)に関わり立木強度と原木強度の関係把握の解析を開始すること、目的(2)では立木強度と本数密度・立地環境・形状との関係把握の解析を開始することを予定としていた。研究実績の概要に記載した通り、間伐前調査及び間伐時調査について予定通り実施・終了することができている。また、目的(1)においては、立木から得られた原木の強度等級を採材位置も踏まえて比較したところ、一番玉が最も強度等級が低く、2番玉以上の原木の等級が1等級高い等の今後の解析に向けたデータの傾向把握を開始することができている。目的(2)についても凹凸地形と樹冠情報との立木強度の関係解析を開始できている。以上のことから、当初の計画どおりに研究が実施できており、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
目的(1)では本年度見られた原木の採材位置別の原木強度と立木強度との間に主に3つのパターンが見られることから、立木強度から原木強度を予測する原木強度予測モデルの構築に繋げるには、これらのパターンを左右する要因を検討する必要があると言える。これらの要因として立木の直径や樹高との関係からも検討を行う。また、立木の強度は年輪の詰まり具合と関係があることがわかっていることから、目的(2)では立地環境としてこれまでの成長との関係が見られた堆積様式や傾斜等と強度の関係把握を行うとともに、レーザ測量で得られた点群から成長特性を表すような指標を開発できないか、検討をしていきたい。
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