研究課題/領域番号 |
23K05473
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
星 岳彦 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (80219162)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | ユビキタス環境制御システム / カーボンフットプリント / バーチャルウォーター / IoT / イチゴ / 高説養液栽培方式 / 流量計 / マスフロー / モデリング |
研究開始時の研究の概要 |
同化箱などの高価な機材を購入せず、既設の自律分散型オープンプラットフォーム園芸施設環境制御システムであるユビキタス環境制御システム(UECS)の計測・制御値から、熱量、水量、炭素量等の物質収支を刻々と見える化し、日本の生産の中核を担う中小規模施設生産者が容易に導入できて、持続的・経済的な施設園芸方法を選択可能にするアプリケーション構築を目指す。
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研究実績の概要 |
日本の生産の中核を担う中小規模施設生産者が容易に導入できて、持続的・経済的な施設園芸方法を選択可能にするアプリケーション構築を目指し、2023年度は下記の3点の主要研究成果をあげ、学会発表した。 (1)低コストIoTガジェットとしてM5 Stack Basicの採用を決め、ソフトウェア開発の準備として、ユビキタス環境制御システム(UECS)プラットフォームの通信内容を傍受し、最新受信値を1分ごとにCSV型式で記録する低コストデジタルデータロガーのアプリケーションを開発し、実装し、オープンソースで公開した。 (2) UECS気象計測ノード、培養液給液ノード、灯油温風暖房ノード、CO2施用ノードがUECSプラットフォームで情報交換する境計測制御データを傍受して記録したデータを使い、水、灯油、電力消費量をリアルタイム推定するアルゴリズムを開発した。培養液および燃料配管に電磁流量計を使ったUECS流量計測ノードを開発して取り付け、推定制度を検証した。環境計測値の推定では低い相関しか得られなかったが、機器の発停値からの推定は、培養液でR2=1.000、暖房燃料消費R2=0.9999、CO2施用燃料消費R2=0.9746と高い決定係数が得られた。機器運転時間から推定した給水、暖房、CO2施用の水収支と炭素収支推定値の正確性が実証された。 (3)試験ハウスイチゴ高設養液栽培の計測制御データを使用した実証では、今作の仮想水が約54.3 m3 t-1、環境制御機器のみのCFPは約2.8 gCO2 g-1と算出された。また、暖房とCO2施用の排出量比は、約3:1であった。 以上から、研究成果の推定アルゴリズムを組み込んだ数千円のIoTガジェットをUECS設置施設のLANに接続するだけで、水・炭素等の物質収支情報獲得による持続的施設園芸生産支援システムを開発できる確証が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、作物(イチゴ)の炭素固定、バイオマス持ち出しを、同化箱などのリファレンス計測システムを利用して求める当初計画であった。しかし、栽培試験したイチゴにサビダニ・ホコリダニの激甚な被害が発生し、通常より著しく生育が悪く、満足な基礎データの収集ができなかった。そこで、2024年度実施予定の養液栽培、環境制御機器の水と炭素収支の推定を前倒し実施して、満足な研究成果が得られた。2024年度に厳重な防除を実施しつつ、初年度実施予定の研究計画を実施する。このため、上記の進捗状況であると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
環境に配慮した情報開示として販売戦略上有利になるだけでなく,高収益,低環境負荷生産を効率的に推進するツールとして持続的施設園芸生産支援システムを機能させるため、植物体の炭素・水収支を含めた推定アルゴリズム構築のため、進捗状況で述べた、作物(イチゴ)の炭素固定、バイオマス持ち出し量の推定を、同化箱などのリファレンス計測システムを利用して求めることを推進する。また、応用性を高めるため、和歌山県農業試験場のUECS設置イチゴ試験温室の環境計測制御データを使った推定を試みる。最終年度のアプリケーション完成に向け、継続したデータ解析と検証、ソフトウェア開発を継続的に実施していく。
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