研究課題/領域番号 |
23K05483
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤井 伸治 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (70272002)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 重力屈性 / 水分屈性 / 自然変異体 / シロイヌナズナ |
研究開始時の研究の概要 |
植物の根は、地上部の自立を支えるとともに土壌からの養水分の吸収に機能するため、植物体の生育に重要である。重力屈性や水分屈性などの屈性は根の伸長方向を制御し、土壌中での根系の形成に機能する。特に根の重力屈性は、根を地中深くまで侵入させるため、重要であると考えられる。これまでに申請者は、シロイヌナズナの217種の自然変異体の水分屈性を解析し、水分屈性の発現に比べて根の重力屈性が強く発現する自然変異体を見出した。本研究では、これらの自然変異体の根の重力屈性の発現を促進する遺伝子を同定し、その遺伝子が根の重力屈性や水分屈性の発現、根系形成と生産性に果たす役割を明らかにする。
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研究実績の概要 |
植物の根は、地上部の自立を支えるとともに養水分の吸収に機能する。そのため、土壌中での根系の形成は、植物体の生育に重要である。重力屈性や水分屈性などの屈性は根の伸長方向を制御し、土壌中での根系の形成に機能すると考えられる。特に根の重力屈性の発現は、根を地中深くまで侵入させ、根系形成を促進することにより、土壌中から水養分の吸収に貢献すると考えられる。これまでに申請者は、シロイヌナズナの217種の自然変異体の静置区における水分屈性を解析した結果、水分屈性の発現に比べて根の重力屈性が強く発現する自然変異体から、水分屈性が強く発現し、水分屈性により根が70度以上屈曲する自然変異体まで認められ、シロイヌナズナの自然変異体間では、水分屈性の発現の程度が大きく異なることを見出した。そして、Genome-Wide Association Study (GWAS) により、静置条件下での根の水分屈性による屈曲角度に影響を与えると予想される非同義多型を含む幾つかの遺伝子を見出した。しかしながら、GWASにより見出した水分屈性の発現に影響を与える非同義多型は、根の水分屈性の発現が強まる自然変異体の形質に関与する多型であった。植物の生産性の増大を目標とした場合、水分屈性に比べて根の重力屈性がより強く発現する形質を担う非同義置換を保持する遺伝子の同定が望まれる。そこで、本研究では、シロイヌナズナの静置区ではほとんど水分屈性を発現しない自然変異体に注目し、根の水分屈性の発現を弱め、根の重力屈性の発現を強める遺伝的変異を特定し、その遺伝的変異の生産性への寄与を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、水分屈性の発現に比べて、重力屈性の発現が強いシロイヌナズの41の自然変異体を生育させ、抽台・開花した11系統の自然変異体と、水分屈性の発現が中程度の野生型シロイヌナズナColumbia-0 (Col-0) とを交配した。その結果、8系統の自然変異体について、Col-0とのF1後代を採種し、それらのうち6系統の自然変異体について、F2後代を採種した。
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今後の研究の推進方策 |
シロイヌナズの自然変異体で、水分屈性の発現に比べて根の重力屈性を強く発現させる遺伝的変異を同定するため、今後、昨年度に採種したF2集団を用いて、以下の解析を行う。 F2集団では、水分屈性による屈曲角度は連続的な分離を示すと予想されるので、水分屈性を発現せず、数百のF2個体の静置区での水分屈性を測定・比較し、根がほとんど下側に伸長するF2個体のグループ (約30個体) と、水分屈性により野生型 (Col-0) と同程度の角度 (約45度) に屈曲するF2個体のグループ (約30個体) を選抜する。選抜した2つのF2個体のグループのDNAサンプルをバルク化し、2つのバルクDNAサンプルの全ゲノムをシークエンスする。得られた2つのグループのバルクDNAサンプルのシークエンスを親系統の塩基配列と比較し、リード数をもとに全SNPに関しSNP-index (野生型Col-0と異なる塩基の割合) を算出する。そして、根が下側に伸長したF2個体のグループのバルクDNAのシークエンスでは、高いSNP-indexを示し、水分屈性により野生型 (Col-0型) と同程度の角度 (約45度) に屈曲したF2個体のグループのバルクDNAのシークエンスでは低いSNP-indexを示す非同義置換 (もしくはアミノ酸をコードするコドンから翻訳停止のコドンへの置換) の多型を見出す。
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