研究課題/領域番号 |
23K05486
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
野口 愛 茨城大学, 農学部, 研究員 (30724207)
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研究分担者 |
成澤 才彦 茨城大学, 農学部, 教授 (90431650)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Dark Septate Endophyte / 環境ストレス耐性菌類 / 新規菌株の分離 / エンドファイト / 共生 / 細菌 |
研究開始時の研究の概要 |
植物根部を主な住処とする根部エンドファイトは宿主植物の初期生育を促進するだけではなく,種々の環境ストレス耐性を付与することが示されている.しかしその感染機構は未だ解明されていない点も多く,屋外で安定的に感染させるには課題が残されている.また,エンドファイトには細菌が共生していることが知られているが,その役割も明らかではない.そこで本研究では,エンドファイトの宿主植物への感染機構を植物-エンドファイト-細菌の3者共生の視点から総合的に解析する.
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研究実績の概要 |
1. Veronaeopsis simplex Y34株のゲノム解析:ゲノムDNAはショートリード(DNBSEQ)およびロングリード(GridION),マッピングのためのRNAはショートリード(DNBSEQ)におけるライブラリー作成とシーケンシング解析を行った.その結果、それぞれ平均塩基長と総塩基数が200 bp,1.5×10^10 bp,1,740 bp,1.1×10^10 bp,100 bp,4.2×10^9 bpの配列データが得られた. 2. 圃場栽培によるVsと親和性の高い土着細菌の釣菌:陸稲・水稲・ダイズ・トマトを栽培した圃場にVsの微生物資材を埋設し,各圃場における土着細菌の釣菌を試みた.埋設より1,2,3ヶ月後に圃場より資材を回収した.回収した資材を用いた植物接種試験では,水稲,ダイズ,トマトを宿主植物とし3週間栽培を行った.栽培後に植物体を回収し,植物根部よりVs様のコロニーを分離した.栽培試験およびVs様コロニーの確立が終了した. 3. 新規DSE菌株の獲得: 2023年に日本各地8自治体において植物体を採取し,その根部から菌類の分離を行った.その結果,植物体の根部から合計で892の菌類を分離し,その中から4種12菌株のDSEおよびDSE様菌株を選抜した.選抜した菌株はホウレンソウの耐暑性試験及び耐酸性試験に用いた.その結果,2種2菌株を耐暑性付与株,2種3株を耐酸性付与株として選抜した. 同時期に,北海道,山形県,鹿児島県内の計22地点より採取した土壌を用い,釣餌法 (Narisawa et al. 2002) による土壌からのDSEの分離を行った.供試植物にはアブラナ科よりハクサイ・カブ,ナス科よりナス・トマトを用いた.約4週間育苗した植物を回収し,根部に定着した菌類の分離を試みた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画とは異なり特に1. 植物へのVsの感染時間・感染部位に関する解析を進めることができなかったが,4. は前倒しで圃場における微生物資材を用いた土着細菌の釣菌を行い,V. simplexの再分離に成功した.また,当初の計画には組み込まれていない新たなDSE菌株を獲得するなどの追加の成果が出ている.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に未実施の1. および2. について,特に植物へのVsの感染時間・感染部位に関する解析を進めていく.発芽直後の宿主植物にV. simplex Y34単独またはV. simplex Y34と共生細菌Agrobacterium pusense Y9を共接種し,根部に定着させた際の経時的な根部への定着を顕微鏡下で確認・解析する. 進捗が順調な場合は,発現遺伝子解析も行っていく. 3. Vsのゲノム解析に関しては,2023年度にゲノムの配列データを得られた.今後,ゲノム情報からVsの有用遺伝子や代謝物質の推定が行っていく.同時に,本研究室で保持しているV. simplex IBAK45株やCBS 588.66株などエンドファイティックな感染の起こらない同種異株のゲノムを比較することで,無病的な感染において重要な遺伝子を選出する. 4. 野外における植物-DSE-細菌共生形成の実証試験に関しては,資材を用いた試験は2023年度に行ったので,今後予めVsを感染させた宿主植物の幼苗を圃場に定植し,Vsと宿主植物との共生関係が形成されている条件での土着細菌の釣菌を試みる.回収できた菌・細菌群を用いた接種試験を行うことで,仮説をさらに検証する. 新規DSE菌株の獲得と確立に関しては,2023年度に得られた新規DSE様菌株に加え,引き続き新規DSE菌株の獲得・確立を続ける.また,獲得したDSE菌株の特性解析を行っていく.
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