研究課題/領域番号 |
23K05489
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
大槻 隆司 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (70313781)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | メタン発酵 / 刈草 / 雑草種 / 高C/N比 / 極低窒素源条件 / ホロセルロース / リグニン |
研究開始時の研究の概要 |
刈草は日本国内で年間数千万トンが排出される廃棄バイオマスであるが、現在はほとんど有効利用されていない。バイオマスからエネルギーを回収する手段のひとつにメタン発酵があるが、刈草には不適とされてきた。我々は、刈草のみを原料に高収率でメタンを生産できる微生物群を取得したが、実用に供するためには「どのように刈草をメタンに変換しているのか」を知ることが重要であるので本研究により解明をめざす。
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研究実績の概要 |
本研究は刈草特化型メタン発酵において原料刈草中で主なメタン生産基質となるホロセルロースの完全利用法の探索を課題のひとつとして掲げている。今年度は、刈草雑草種の違いによるホロセルロースの利用しやすさの原因を明らかにすることを目的として研究を行った。 供試基質雑草種としてギョウギシバ、エノコログサ、クズ、ヒメジョオン、ススキを用いてメタン発酵を行ったところ、200 NL/kg以上のメタン生産を示したギョウギシバとエノコログサではα-セルロースが投入基質中含量の70%が減少するのに対して他の雑草種では減少量が50%に満たず、生成メタンも50 NL/kgに至らなかったことからギョウギシバ、エノコログサはホロセルロースを利用しやすい基質であることが明らかとなった。全ての雑草種基質においてメタン発酵微生物群の優先種はProteiniphilum saccharofermentas、メタン生成アーキアの優勢種は水素資化性のMethanobacterium属であったが、ギョウギシバ、エノコログサを基質とした場合には酢酸資化性のMethanosarcina属の割合増加が観察され、ホロセルロース分解細菌により生成した酢酸を酢酸資化性アーキアが直接消費してメタン生産増大に寄与している可能性が示された。 市販セルラーゼ製剤であるメイセラーゼを用いた各雑草種粉末の24時間糖化反応における還元糖生成率はギョウギシバ192 g/kg基質、エノコログサ233 g/kg基質に対して他の雑草種は110 g/kg基質程度であり、ホロセルロースに対するアクセスのしやすさがメタン生産性の高さにつながっていることが示唆された。セルラーゼ製剤作用後の基質はリグニン構造が取り残された状態となっていることが推察されることから、α-セルロース、キシラン、リグニン等の示差染色や電子顕微鏡観察による構造の比較検討に着手する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の計画に従い、基質雑草種の違いによりメタン発酵基質としての特性が異なることを明らかにし、各々に対応している微生物種も異なる可能性を示した。また、市販セルラーゼ製剤を用いた各雑草種基質の分解挙動調査によりメタン発酵生産性とホロセルロースの易利用性はある程度関連していることを示したが、詳細な解析は次年度の課題となった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究では基質に用いる雑草種の違いによりホロセルロースの利用しやすさが異なりメタン生産にまで影響すること、基本は酸生成微生物群により副次的に生成する水素・二酸化炭素をメタン生成アーキアが資化することでメタン生成が起こっていること、メタン生産の多い基質雑草種では酸生成微生物群により生成する酢酸を資化するメタン生成アーキアが寄与度を高めることがメタン生産増大につながっていることが示唆されたので、微生物群中のホロセルロース→低分子糖→揮発酸・水素・二酸化炭素の動態とメタトランスクリプトームによる関連遺伝子動態を精査し相関解析により従来より知られるメタン発酵経路との相違を検討するとともに、基質雑草種によってはホロセルロース分解に対する「抵抗性」が存在することもわかってきたため、それら基質の構造観察比較を経てホロセルロースへのアクセス性を高める手段を探索する。
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