研究課題/領域番号 |
23K05496
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
曽我 康一 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (00336760)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 宇宙農業 / 遠心過重力 / 緑化芽ばえ / 成長促進機構 |
研究開始時の研究の概要 |
長期有人宇宙活動において、人類が健全に生存するためには、宇宙において食料となる植物を生産することが不可欠である。地球上と宇宙の環境の違いのひとつは、重力の大きさが異なっていることであり、重力環境の違いが植物の成長に与える影響の解析は非常に重要な課題である。本研究では、宇宙農業に向けた基盤研究として、ブロッコリーなどの緑化芽ばえを重力が大きな環境(過重力環境)で成育させた際の茎の成長促進のしくみを解析する。
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研究実績の概要 |
長期有人宇宙活動において、人類が健全に生存するためには、宇宙において食料となる植物を生産することが不可欠である。地球上と宇宙の環境の違いのひとつは、重力の大きさが異なっていることであり、重力環境の違いが植物の成長に与える影響の解析は非常に重要な課題である。私たちは、最近、ブロッコリー緑化芽ばえの成長が過重力によって促進されることを見いだした。本研究では、過重力による成長促進機構を明らかにすることを目指す。 まず、重力の大きさを5~100 gで変化させたときの芽ばえの成長を詳細に解析した。30 gの過重力までは、重力の大きさが大きくなるにつれて、胚軸の長さは長く、また、直径は大きくなったが、30 g以上に重力の大きさを大きくしても、胚軸の長さや太さに、それ以上の促進はみられなかった。一方、子葉や根の成長に過重力は影響を与えなかった。これらの結果から、胚軸と子葉や根では重力に対する反応性が異なっており、胚軸の成長は重力によって制御されていると考えられる。 植物細胞の成長速度は、細胞壁の物性と浸透物質によって生み出される浸透圧によって、最も直接的に規定されている。過重力環境で生育させた胚軸の細胞壁の物性を測定したところ、1 g対照のものと変わらなかった。一方、過重力によって、胚軸の浸透物質量は増加した。このことから、過重力により浸透物質の蓄積が促進されることによって、細胞の吸水量が増加し、胚軸の成長が促進されたと考えられる。現在、過重力による胚軸の成長促進過程において、発現が変化する遺伝子を同定するために、RNA-seq解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、成長、細胞壁物性、浸透物質の解析を行った。また、発現が変化する遺伝子を同定するために、RNA-seq解析を行っているところである。芽生えの生育条件の検討を念入りに検討したことにより、RNA-seq解析が当初の予定より若干遅れているが、全体としては、概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、RNA-seq解析において同定された遺伝子の役割を検証し、胚軸の成長促進過程の分子機構を明らかにする。また、緑化芽ばえの成長は、光合成活性の影響を大きく受けることから、光合成の量子収率やクロロフィルの量、また、葉緑体の数と大きさを解析し、胚軸の成長促進過程において、光合成活性の制御が関与しているのかを明らかにする。
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