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卵巣予備能の指標となる備蓄原始卵胞プールの維持に寄与する分子機構の解明とその制御

研究課題

研究課題/領域番号 23K05504
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分42010:動物生産科学関連
研究機関山形大学

研究代表者

木村 直子  山形大学, 農学部, 教授 (70361277)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
キーワード原始卵胞 / 維持 / 卵巣 / 新生仔 / マウス / 卵母細胞 / 生殖寿命
研究開始時の研究の概要

申請者らは、生涯の卵巣機能のボトルネックとなり得る新生仔期の原始卵胞数が1.2~2.8倍に増加する4種のマウスモデルを見出した。これらのモデルでは、性成熟後も備蓄原始卵胞プールが一定の割合で維持されて生涯累計産仔数が1.2~1.4倍に向上するものと、維持されず生殖能が変わらないものがあり、その理由は不明であった。本課題では、備蓄原始卵胞プールの維持に寄与する主要な分子機構の解明とその制御を目的に、トランスクリプトーム情報からの候補分子と、未開拓なクロマチンのエピジェネティクス制御分子に着目し、4種のモデルで発現解析を行う。さらに卵巣培養系や生体での制御実験を行うことで、表現型を検証する。

研究実績の概要

野生型よりも、原始卵胞数が多く、拡張後の備蓄原始卵胞プールが維持されるマウスモデル(D11投与、あるいはシスチン・グルタミン酸トランスポーター遺伝子欠損(xCTKO))の原始卵胞プールの維持に寄与する主要分子とその経路の特定を目的に、取得済みのRNA seq情報からの候補分子と、最近報告されたクロマチンのエピゲノム制御に関わる分子の発現動態を詳細に調査し、以下の結果を得た。
1.生後60時間のD11投与マウス卵巣のRNA-seq.で得られた差次的遺伝子から、発現が有意に低下していた活性酸素種産生酵素Nox1タンパク質の発現量の調査を行った。D11投与マウスでは低い発現傾向がみられた。細胞内活性酸素量が低下し、Wntシグナル経路が抑制されていることが考えられた。一方、RNA-seq.で顕著に高発現していたRad50タンパク質は、D11投与マウスと対照区で、明確な差がみられなかった。
2.ヒストン修飾因子であるH2AK119ubの形成を触媒することで、ポリコーム遺伝子を抑制するはたらきを持つPRC1は、減数分裂前期に入ると減数分裂関連遺伝子のプロモーターに結合することで転写を抑制し、卵母細胞を減数分裂前期で停止させ、原始卵胞の休眠状態を維持する。生後60時間のD11投与マウス卵巣では、PRC1タンパク質は、予想と異なり、卵細胞核内ではなく核周辺に局在がみられ、対照区と比較して高い発現傾向がみられた。
3.一連の卵胞培養-卵成熟培養-体外受精の培養系を構築し、二次卵胞から、低率であるが受精卵が得られた。培養系の改良余地があり、そのアプローチとして、培養中の卵胞に及ぼす酸化ストレスの影響を検討する目的で、SOD1遺伝子欠損(KO)マウスの卵胞で検証を行ったが、予想に反し、SOD1KOマウスの卵胞は、形態学的には野生型と顕著な差がないまま卵胞発育をし、一定の割合で卵成熟がみられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は、申請書の研究計画3項目中、項目1と2の検討を進めた。クロマチンのエピゲノム制御による原始卵胞の維持能について、PRC1の発現局在が、当初の予想と異なったため、2024年度は、PRC1活性を示すH2AK119ubの核局在化なども含め、引き続き検討する。
項目2については、当初計画していた新生仔卵巣の器官培養系での検討よりも、卵胞培養系の方が使用可能な卵子を得られやすいと考え、卵胞培養系で原始卵胞の維持能を検証するために、2023年度は、当研究室の卵胞培養系の構築を進め、改良の余地はあるが、プロトコールは概ね完成した。
以上の理由から、概ね順調に進んでいるものと認識される。

今後の研究の推進方策

2023年度はD11投与マウスを対象に研究計画の項目1の検討を行ってきたが、2024年は、シスチン・グルタミン酸トランスポーター遺伝子欠損(xCTKO))マウスにおいても同様の調査を行いながら、研究計画の項目1および2の未実施の部分についても進める。またxCTKOマウスの卵胞培養系での発生能についても検証し、D11投与マウスとの違いがあるのかについても注視して、進める。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 我が国における生殖補助医療胚培養士の現状2022「一般社団法人日本卵子学会生殖補助医療管理胚培養士及び胚培養士資格制度による審査結果の解析」2024

    • 著者名/発表者名
      木村 直子、高橋 俊文、久慈 直昭、柏崎 直巳、寺田 幸弘
    • 雑誌名

      J. Mamm. Ova Res.

      巻: 41 ページ: 15-26

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] IVM 培地への N-Acetyl-Cysteine 添加が老齢マウス由来卵の減数分裂の進行に及ぼす効果2023

    • 著者名/発表者名
      春日 悠伽、久保埜 花乃、柳井 真澄、木村 直子
    • 学会等名
      第64回日本卵子学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] マウス新生仔期のオートファジーの促進により増加した原始卵胞の維持機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      吉田 菜瑞奈、冨岡 千夏、尾池 緩子、木村直子
    • 学会等名
      第41回日本受精着床学会総会・学術講演会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 第5章 伝染病の統御(分担執筆). 畜産学(眞鍋 昇(編)/大杉 立・堤 伸浩(監修))2023

    • 著者名/発表者名
      佐藤英明、木村直子、眞鍋昇
    • 総ページ数
      18
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      9784254405781
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 第5章第2節乳用牛のゲノム編集による改良とDX・AI技術を有効利用したマーケット革命(分担執筆). ゲノム編集の最新技術と医薬品・遺伝子治療・農業・水畜産物・有用物質生産への活用2023

    • 著者名/発表者名
      眞鍋 昇、木村 直子、佐藤英明
    • 総ページ数
      15
    • 出版者
      技術情報協会
    • ISBN
      9784861049781
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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