研究課題/領域番号 |
23K05505
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
青山 真人 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (90282384)
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研究分担者 |
平尾 温司 自治医科大学, 看護学部, 准教授 (70364528)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 悪心 / オキシトシン / セロトニン / 5-HIAA / ヤギ / 輸送ストレス / シスプラチン |
研究開始時の研究の概要 |
反芻動物は嘔吐をしない。それゆえ、これまで「悪心」(おしん)(気分が悪いという感覚)を感じるとは思われてこなかった。しかし、青山は反芻動物であるヤギが悪心を感じる可能性について研究しており、そのことを肯定する結果を得ている。 本研究はヤギを用い、まず、①ヤギは確かに悪心を感じることがあるのか、を確かめる。次に、②そうだとしたらどのようにそれを判定するのかを見出すため、悪心を感じているときに特異的に現れる血中成分、行動的特徴を探索する。さらに、③反芻動物も悪心を感じているとしたら、畜産の現場でそれをどのように軽減できるのか、について検討する。
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研究実績の概要 |
ヤギにシスプラチン(CDDP)を投与し、これまで申請者が報告したとおり、活動量、特に摂食行動や反芻の消失と、ストレスマーカーである血中コルチゾル濃度の増加 という結果を得た。当該年度は、それに加え、以下の新たな知見を得た。 *血中オキシトシン濃度の減少傾向:ヤギと同様、嘔吐反射を欠くラットにおいては、悪心を引き起こす処置により血中のオキシトシン(OXT)濃度は増加したことが報告されている(Verbalisら,1986)。CDDP投与により、行動学的変化を示し、血中のCor濃度が増加している状態のヤギでは、統計学的に有意ではなかったがCDDP区の方が生理食塩水を投与した対照区と比較して、血中OXT濃度は低い傾向にあった(p = 0.051)(これは、ラットとは逆の結果である)。 *血中のセロトニンおよびその代謝物濃度の減少傾向:CDDP投与による悪心の発生には、消化管に由来するセロトニン(5-HT)がかかわることが報告されており、これはヤギでも同様であると考えている(5-HTの阻害剤投与により、ヤギにおいてもCDDP投与による反応が軽減された:Aoyamaら,2021)。CDDP投与により、行動学的変化を示し、血中のCor濃度が増加している状態のヤギにおいては、まだ例数が少ないため統計学的検討はしていないが、CDDP区の方が対照区と比較して、血中の5-HTおよびその代謝産物である5-HIAA濃度が低い傾向があった。これも、予想とは逆の結果であった。 *ヤギ血漿成分の網羅的解析:研究分担者の平尾は、二次元電気泳動の予備実験に成功している。しかし、血漿タンパクの二次元電気泳動は、一度、血漿タンパクを沈殿させた後に、超音波ホモジナイザーによる調整が必要であることが分かった。現在、その準備を行っている。。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定よりもやや遅れている理由として、申請者が様々な業務に忙殺されていたこともあるが、大きな理由の一つは、宇都宮大学農学部の附属農場の家畜飼育施設が改築されたことである。動物の飼養管理、特に動物の福祉水準は向上したが、環境が変わり、これまでの実験系の一部が困難になった。特に、中枢神経系における反応を見るため、ヤギから脳を採取するための設備がなくなったことである。現在は、附属農場ではなく、本学のキャンパスでの実施の可能性を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、当初の予定どおりに進める。 *中枢神経系における反応の検討:進捗状況にも記したように、2023年度はこの検討ができなかった。この過程は、本実験には不可欠なので、申請者が常駐している峰キャンパスにおいてヤギを一定期間飼養し、この実験を実施する施設の整備を検討している。 *血中生物の解析:予想とは逆の結果になっているが、CDDP投与により血中のOXTと5-HT、5-HIAAの濃度が減少する傾向にあった。例数も増やし、なぜこのような反応が起こるのかを検討する(中枢神経系での反応が参考になると考えているので、その意味でも中枢神経系における反応の検討が必要)。また、研究分担者の平尾は、血漿タンパクの二次元電気泳動の技術が確立でき次第、ヤギの血漿タンパクで二次元電気泳動による検討が行えるように準備している。
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