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長期不受胎牛の子宮内膜機能改変における血管新生抑制因子の関与と受胎性予測の検証

研究課題

研究課題/領域番号 23K05516
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分42010:動物生産科学関連
研究機関国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構

研究代表者

林 憲悟  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主任研究員 (70563625)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワードウシ / 子宮内膜 / トロンボスポンジン / 長期不受胎 / 血管新生抑制因子
研究開始時の研究の概要

生殖器、発情周期、臨床徴候に異常を認めないが、人工授精(AI)を3回以上施しても受胎しないリピートブリーダーを含む「長期不受胎牛」の生理学的要因は多岐にわたるが、子宮内膜機能の変化に伴う「子宮内環境の異常」が大きく関与している。本研究は、血管新生抑制因子である「トロンボスポンジン(TSP)」に着目し、ウシの長期不受胎に伴う子宮内膜機能の改変機序における機能調節因子としてのTSPの関与を明らかにすることを目的とする。TSPに制御される子宮内膜機能改変と受胎性低下との因果関係の解明に加え、長期不受胎化の予測指標としてのTSPの有用性を組織培養系やウシ生体を用いて包括的に検証する。

研究実績の概要

本研究は、主要な血管新生抑制因子であるトロンボスポンジン(TSP)ファミリーに着目し、TSPに制御される、血管系を中心としたウシ子宮内膜の機能改変と受胎性との因果関係を明らかにすることを目的とする。本年度は以下の研究を実施した。
1) 空胎日数の長期化に伴うウシ子宮内膜におけるTSP発現動態の解析:正常に発情周期を回帰する、空胎日数<100日、150日、250日、350日、500日、>1000日のウシにおいて、子宮内膜上皮細胞におけるTSPリガンド(TSP1、TSP2)および受容体(CD36、CD47)の遺伝子発現量の解析と、子宮内腔液および末梢血におけるTSP1およびTSP2のタンパク質濃度を測定した。その結果、空胎日数>1000日の子宮内膜上皮細胞において、TSP1およびTSP2 mRNA発現量は<100日より高く、子宮内腔液および末梢血中TSP1、TSP2濃度も空胎日数>1000日で<100日より高かった。よって、空胎期間の長期化に伴い、ウシ子宮内膜ではTSP発現が亢進することで血管新生が抑制状態になることが示唆された。
2) 長期空胎牛の子宮内腔液が子宮内膜のTSP発現に及ぼす影響の解析:正常に発情周期を回帰するウシから採取した子宮内膜組織片(20~50mg)に、① 無処置、②空胎日数<100日の子宮内腔液(タンパク質濃度0.5mg/ml)、③空胎日数>1000日の子宮内腔液(タンパク質濃度0.5mg/ml)を添加して24時間培養し、組織中のTSP遺伝子発現量を解析した。その結果、空胎日数>1000日の子宮内腔液を添加した区では無処置区と比較してTSP1、TSP2、CD36、CD47 mRNA発現量が高く、空胎期間の長期化による子宮内環境の変化は子宮内膜のTSP発現を亢進し、血管新生を抑制状態にしている可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度の研究実施計画に従い、1)空胎日数が>1000日の長期空胎牛では空胎日数が<100日のウシと比較して、子宮内膜上皮細胞におけるTSP遺伝子発現や子宮内腔液および末梢血中におけるTSP濃度が高いことが明らかとなり、空胎期間の長期化に伴うウシ子宮内膜におけるTSP発現の亢進が雌牛の受胎性に関与している可能性が示された。さらに、2) ウシ子宮内膜組織培養において、長期空胎牛の子宮内腔液添加が子宮内膜のTSP発現を刺激したことから、空胎期間の長期化による子宮内環境の変化が子宮内膜のTSP発現に影響し、TSPに制御される血管系の機能改変に関連している可能性が示された。よって、概ね順調に研究が進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

ウシ子宮内膜において、TSPによる子宮内膜機能の改変の制御メカニズムおよびその受胎性低下との因果関係は明らかではない。したがって、研究実施計画に従い以下の2つの仮説を検証する。
仮説1「子宮内膜においてTSPは受胎性の低下を導く機能変化を引き起こす」:ウシ子宮内膜組織片(20~50mg)にTSP1(0、10、100、1000ng/ml)を添加して24時間培養し、マイクロアレイ等により各試験区における遺伝子発現プロファイルの差異を網羅的に解析することで、子宮内膜においてTSPに制御される受胎性に関わる分子カスケードや作用機序を明らかにする。
仮説2「子宮内膜におけるTSP発現動態は不受胎の予察指標となり得る」:分娩後に子宮および卵巣機能が完全に回復が確認された段階で、子宮内膜上皮細胞、子宮内腔液および末梢血を採取する。その後適宜人工授精(AI)を行い、受胎した牛を正常牛、AIを3回以上施しても不受胎の場合を不受胎牛とする。不受胎牛は確定後に再度上記の採材を行う。両牛群間で、子宮内膜上皮細胞におけるTSPの遺伝子発現量、子宮内腔液および末梢血中のタンパク質濃度を比較することで、子宮内膜のTSP発現動態と受胎性との因果関係を明らかにする。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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