研究課題/領域番号 |
23K05534
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
村上 麻美 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (30597125)
|
研究分担者 |
酒井 洋樹 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (40283288)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 猫乳腺癌 / STAT5 / CRISPR-Cas9 |
研究開始時の研究の概要 |
ネコ乳腺癌(FMC)は,リンパ節転移をしている症例の平均生存期間は5ヶ月で,9ヶ月以内に死亡する予後不良の疾患である。しかし,FMCの研究は,現在まで臨床研究が主たるものであり,分子生物学的な研究報告は散見される程度である。これまでの申請者の研究から, シグナル伝達兼転写活性化(STAT)5の活性化は正常乳腺では認められるが,FMCでは認められない事を明らかとした。そのため,FMCにはSTAT5の非活性化が関与しており, STAT5の非活性化の機序を解明することで, STAT5がFMCの治療標的となりえることから,外科治療が適応されないFMCに対しての治療薬の開発の基盤となり得る。
|
研究実績の概要 |
ネコ乳腺癌(FMC)は、初診時にリンパ節転移している症例は約40%と高く、リンパ節転移をしている症例の平均生存期間は5ヶ月であり、9ヶ月以内に死亡する予後不良疾患である。しかし、FMCの研究は、現在まで臨床研究が主たるもので、分子生物学的な研究報告は散見される程度である。また、その治療法も早期外科治療が主で、化学療法や放射線治療などによる明確な治療法は確立されていない。これまで申請者は、シグナル伝達兼転写活性化(STAT)5のリン酸化による活性化が正常乳腺では認められるものの、FMCではSTAT5のリン酸化による活性化が検出されない事を明らかとした。ここから、FMCにはSTAT5の非活性化がFMC発生の原因の一つと考え、STAT5を再リン酸化によってSTAT5を再活性化させることにより、FMCを制圧できる可能性があると仮説を立てた。そこで本研究で、STAT5の非活性化がFMC発生に関与していることを明らかとし、STAT5が治療標的となりえるかを確認し、外科治療が適応されないFMCに対しての治療薬の開発の基盤となるかを検証する。 申請者が樹立した自然発生FMC由来腫瘍細胞株は通常の培養状態では、STAT5のリン酸化によるSTAT5の活性化はウェスタンブロット (WB)で検出されないことが明らかとなっている。これらの株を用いて、リン酸化したSTAT5の脱リン酸化酵素の主体であるチロシンホスファターゼのSHSP-2阻害剤を用いて、STAT5のリン酸化によるSTAT5の活性化がWBで検出されるか試みたものの、STAT5のリン酸化はWBで検出されなかった。しかし、強力な脱リン酸化酵素阻害剤であるオルトバナジン酸を使用したところ、STAT5のリン酸化がWBで検出された。ここから猫乳腺癌ではSTAT5はリン酸化しているものの、脱リン酸化が急速に行われている可能性があることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
雑誌投稿準備に時間を要してしまったこと、SHP-2阻害剤で脱リン酸化を抑制できないという予想外の結果が得られたことから、実験手順の見直し等に時間を要してしまったことが、研究の進行を遅らせてしまった。
|
今後の研究の推進方策 |
STAT5の非リン酸化の過程をSHP-2などの脱リン酸化酵素の異常と仮説を立てたものの、その仮説が異なる可能性が高いと考えた。そのため、特定の因子を標的とせず、網羅的に正常乳腺組織との異なりを解析し候補因子を絞り込む。候補因子の遺伝子発現やタンパク質発現を、自然発生症例および樹立細胞株で確認する。その後、候補因子についてSTAT5の非リン酸化に関して、阻害剤やCRISPR-Cas9システムによるノックアウトした細胞株を用いて、その機序を解析する。
|