研究課題/領域番号 |
23K05535
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
富岡 幸子 鳥取大学, 農学部, 准教授 (50374674)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 疾患モデル / ゲノム編集マウス / 発達性てんかん性脳症 / GOT2 / 不育症 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトの発達性てんかん性脳症(developmental and epileptic encephalopathy: DEE)はてんかんを伴う難治性脳症で、新生児期に発症する指定難病である。細胞のエネルギー産生に寄与するGOT2遺伝子の変異はDEEの原因の一つであることが最近明らかになった。本研究では、ゲノム編集により作出したGOT2変異マウスを用いてDEEの特異的治療法を検討すると共に、このマウスが示すてんかんおよび不育症の素因・病態を明確にし、疾患モデルとして確立することを目的とする。
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研究実績の概要 |
ヒトの発達性てんかん性脳症(developmental and epileptic encephalopathy: DEE)はてんかんを伴う難治性脳症で、新生児期に発症する指定難病である。リンゴ酸アスパラギン酸シャトル(MAS)の構成酵素で細胞のエネルギー産生に寄与するGOT2遺伝子の変異はDEEの原因の一つであることが近年明らかになっている。本研究では、ゲノム編集により作出したGOT2変異マウスを用いてDEEの特異的治療法を検討すると共に、このマウスが示すてんかんおよび不育症の素因・病態を明確にし、疾患モデルとして確立することを目的としている。 (1) 治療薬候補となるMAS関連化合物の検討: GOT2ヘテロKOマウス同士を交配し、妊娠期間中に母マウスにMAS関連化合物(D-セリン、L-セリン、ピリドキシン)を飲水投与することで、ホモKOが産まれるか検証し、これら化合物のDEE治療薬としての可能性を検討した。その結果、母体へのD-セリン投与により、出生までは至らないものの少なくとも胎齢12.5日までホモKO胎仔が生存可能となること、全体産子数が増加し、特にヘテロKO産子の割合が増加することが明らかになった。 (2) GOT2ヘテロKOマウスにおける不育症様病態の解析: ヘテロKOの不育症様病態を明らかにするため、父ヘテロKOx母野生型、父野生型x母ヘテロKOで交配させ、その胎仔および胎盤を同妊娠時期の野生型マウスの胎仔・胎盤と比較したところ、父および母のどちらがヘテロKOの場合も胎仔発生および胎盤形成に異常が見られること、特に父ヘテロKOの影響が顕著であること、胎仔自身の遺伝子型も胚発生・胎盤形成に影響することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DEE治療薬候補化合物としていくつかの薬剤を検討し、D-セリンについて一定の効果を見出すことができたこと、片親だけが外観上全く異常のないヘテロKOの場合であっても(特に父だけがヘテロKOの場合も)不育症病態を示す可能性を示唆できたことから、概ね当初の計画・目標どおりに課題が進捗していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、下記項目のように研究を推進していく。 (1) 治療薬候補となるMAS関連化合物のさらなる検討を行う。初年度で、D-セリンおよびピリドキシンの一定の効果が確認できたため、これらの合剤、およびその他のMAS関連化合物(アスパラギン酸など)の効果をさらに検証し、ホモKOの出生を目指す。また、初年度の解析によって、父ヘテロKOの場合も胎盤形成や胎仔発生にかなりの影響を及ぼすことが明らかになってきたため、交配前の父マウスにもこれら化合物を投与する。 (2) MAS関連化合物を投与した親マウスの交配で得られる、産子および子宮内胎仔の表現型解析(病理組織学的解析、免疫組織化学的解析、血漿アミノ酸解析、電気生理学的解析)を上記(1)と並行して進める。 (3) GOT2ヘテロKOマウスにおけるてんかん発作易誘発性の検証に着手する。ヘテロKOがてんかん素因を持つことを明らかにするため、てんかん発作誘発薬剤を低用量投与して、行動観察・病理学的解析・免疫組織化学的解析、必要に応じて電気生理学的解析を行い、野生型と比較して、てんかん発作易誘発性を示すか検証する。
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