研究課題/領域番号 |
23K05542
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
氏家 誠 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (50415478)
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研究分担者 |
鈴木 亨 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 上級研究員 (10362188)
神谷 亘 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60551421)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | トロウイルス / コロナウイルス / ワクチン / 牛 / 感染性下痢 / 牛トロウイルス / 牛コロナウイルス / 牛下痢症 / ワクチン開発 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、BCVとBToV下痢症のコントロールのため、1)BCVおよびBToVをベースとしたRG法を用い、両ウイルスを対象とした新規弱毒生ワクチンの作製を行う。さらに、2)作製した弱毒生ワクチンを牛に接種し、腸管での増殖能や外来抗原の発現量、抗体誘導能を測定し、ワクチン評価を行う。本研究は、腸管免疫の活性化を可能とする「腸管指向性ウイルスベクターの開発」と言う別の側面も持っており、本研究が上手く行けば、他の下痢原生病原体の抗原を組み込んだ生ワクチンの開発も可能となり、牛の感染性下痢の制御につながるであろう。
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研究実績の概要 |
牛の下痢症は、ウイルス・細菌・寄生虫などの感染性要因によるものが多く、その経済損失は甚大である。しかしながら、現行の不活化ワクチンの効果は限定的であり、特に腸管に抗原を輸送し腸管免疫を活性化することが困難である。牛コロナウイルス(BCoV)および牛トロウイルス(BToV)は下痢原生ウイルスで、特にBCoVは牛の感染性下痢症の3大要因の1つとなっている。一方、BToVは国内外に蔓延しほとんどの個体が感染歴を持つが、その病原性は極めて低い。本研究では、BToVのリバースジェネティクス法を用いて、低病原性のBToVに、高病原性病原体の外来抗原遺伝子を組み込んだ「腸管指向性弱毒ウイルスベクター」の開発を行う。初年度は、このモデルとして高病原性のBCoVの抗原を組み込んだ各種組換えBToVを作製し、その培養細胞における特性評価を行った。この結果、BCoVのS1サブユニットの一部を組み込んだ組換えBToVが、培養細胞での増殖能および抗原発現量において良好な結果を示した。次年度以降は、この組換えBToVを用いてワクチン評価および牛の感染実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、3年計画となっており、初年度は組換えBToVのワクチン候補株の選定およびBToV感染の予備実験を行う予定であった。組換えBToVのワクチン候補株の選定においては、BToVのHE遺伝子をBCoVのS1(S蛋白質のS1サブユニットで抗原決定基を多数含む)、S-NTD(S1サブユニット内のN末端領域で抗原決定基を含む)、HE遺伝子、M遺伝子に置換した組換えBToVを作製した。このうち、S1、HE、M遺伝子に置換した組換えBToVは回収することが出来なかった。一方、S-NTDに置換した組換えBToVは回収可能であり、培養細胞での増殖能や外来抗原発現量も良好であった。BToV感染の予備実験に関しては、野生株BToVを用いて感染条件の検討を行い、感染成立条件および排泄ウイルス量の測定法を確立した。次年度以降は、この組換えBToVと確立した感染条件を用いて、ワクチン評価および牛の感染実験を行う予定である。このため、進捗状況を「②おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
初年度は、組換えBToVのワクチン候補株の選定および牛のBToV感染実験の条件を確立することができた。次年度は、作製した組換えBToVを牛に接種し、腸管での増殖能や外来抗原の発現量、抗体誘導能を測定し、ワクチン評価および腸管指向性ウイルスベクターとしての評価を行う。また、BCoVのリバースジェネティクス法の確立も次年度以降も引き続き継続して行う予定である。
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