研究課題/領域番号 |
23K05543
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
小林 正典 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 准教授 (80600428)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 前立腺癌 / 犬 / リン酸化キナーゼ阻害剤 / BRAF |
研究開始時の研究の概要 |
犬前立腺癌は既存の治療法に対する有効性が乏しく、癌発症から浸潤・転移へと早期に病態が進行する悪性腫瘍である。近年、犬前立腺癌のドライバー変異としてBRAF V595E変異が見出され、BRAF阻害剤が抗腫瘍効果を発揮する可能性がある。一方、BRAF V595E変異陰性犬前立腺癌の分子病態機構の詳細は不明であり確立された治療法がない。本研究では、チロシンキナーゼのリン酸化シグナル伝達経路の網羅的解析、低分子化合物スクリーニング、および関連分子の発現解析を通じて、BRAF V595E変異陰性前立腺癌におけるドライバー分子の同定、癌発症・病態形成機構の解明、および有効な新規治療法の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
近年、BRAF V595E変異を有する悪性腫瘍では、活性型BRAFによるMAPK/ERK経路の活性化に起因した腫瘍増殖機構が明らかとなり、BRAF阻害剤を用いた分子標的治療が獣医領域においても有用となる可能性がある。その一方で、BRAF V595E変異陰性犬前立腺癌の病態機構に関してははいまだ不明な点が多い。 2023年度はドライバー分子の候補の絞り込みを目的として、犬由来の正常細胞 (2種)、既に樹立に成功しているBRAF V595E変異陽性 (3種) および陰性 (1種) の犬前立腺癌細胞株に対し、キナーゼ阻害剤ライブラリーに内包するキナーゼ阻害剤 (418種類) を100 nM濃度で添加し、細胞増殖抑制試験を実施した。キナーゼ阻害剤無添加のものと比較して、50%以上細胞増殖が抑制されたキナーゼを抽出した。 結果として、BRAF V595E変異陰性犬前立腺癌細胞株のみに細胞増殖抑制が認められたキナーゼは7種類確認され、これらをターゲットとする分子がドライバーとなっている可能性が示唆された。その一方、BRAF V595E変異陽性犬前立腺癌細胞株のみに細胞増殖抑制が認められたキナーゼは8種類確認された。また、BRAF V595E変異の有無に関わらず、犬前立腺癌細胞株のみに細胞増殖抑制が確認されたキナーゼは1種類確認されたが、変異陽性株よりも陰性細胞株で細胞増殖抑制作用は減弱された。変異の有無に関わらず効果を示すキナーゼが抗腫瘍効果を発揮するのであれば、広範な症例に使用できる可能性もあるため、このキナーゼについても詳細解析を実施していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度では主に、キナーゼ阻害剤による細胞増殖抑制効果を網羅的に解析することを計画し、研究を進めていく予定としていた。そのため、本研究課題はおおむね順調に進展しているものと考えている。また、新たにBRAF V595E変異陰性犬前立腺癌細胞株の樹立を目的として、新たに継代培養を実施しており、樹立後に合わせて解析をすすめることができるだろう。
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今後の研究の推進方策 |
受容体型チロシンキナーゼは、細胞表面に存在する膜貫通型の糖蛋白質であり、主要な細胞内シグナル伝達経路を活性化する。一方、非受容体型チロシンキナーゼは、膜貫通領域を持たないタンパク質であり、細胞内領域にチロシンキナーゼドメインを有する。これらはともに、細胞の増殖・分化・死などの生命現象において重要な役割を担う分子であり、腫瘍細胞において過剰発現や活性化変異が多数報告されている。2024年度は、犬の腫瘍において使用実績のあるヒトリン酸化キナーゼアレイキットを用いて、BRAF V595E変異陰性犬前立腺癌細胞株におけるリン酸化状態の網羅的解析を行い、キナーゼ阻害剤による抗腫瘍効果の結果とあわせて、ドライバー分子の候補の絞り込みを行っていく。また、それと並行してBRAF V595E変異陰性前立腺癌細胞株の樹立を試みる予定である。
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