研究課題/領域番号 |
23K05544
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
塩澤 誠司 久留米大学, 医学部, 教授 (10447039)
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研究分担者 |
坂井 勇介 久留米大学, 医学部, 助教 (70711266)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ネコiPS細胞 / iPS細胞 / ネコ / ワンヘルス |
研究開始時の研究の概要 |
我々は独自の研究から、イヌやブタなど、これまで樹立困難とされてきた動物種から高品質のiPSCを樹立する技術を確立してきた。本研究ではこの技術を元に、イヌと並びペットとして人気の高いネコにおいて、獣医臨床に応用可能なグレードのiPSC樹立法を確立する。すなわち、ウイルスベクターを用いず、かつトランスジーンが残らない手法で、分化多能性と自己複製能を有するネコiPSCを樹立する。得られたネコiPSCから、獣医再生医療に有用な細胞種として神経幹細胞および間葉系幹細胞への分化誘導系を確立し、ネコiPSCでの再生医療実現に向けた基盤技術とする。
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研究実績の概要 |
イヌを含む多数の動物種においてはこれまでiPS細胞の樹立が困難であったが、独自に開発した樹立法を用いることにより、獣医臨床への応用が可能な品質のiPS細胞を樹立できることを報告してきた。本研究では、獣医臨床において使用に耐えうる品質のネコiPS細胞の樹立を目標として研究を行なっている。 まず、RNAリプログライミング法によるネコiPS細胞の樹立法を検討した。市販のネコ線維芽細胞を入手し、EGFPをコードするRNAを用いて導入条件を決定した。この条件でリプログラミング因子を導入し、iPS細胞の樹立を試みたが、コロニーを得ることはできなかった。そこで、リプログラミングの過程で用いる培地等の条件を複数検討し、初期のiPS細胞様コロニーを得ることに成功した。しかしながら、その後の継代培養による増幅はできなかった。 そのため、ネコ多能性幹細胞の培養条件について検討した。多能性幹細胞は動物種により培養条件が異なるため、ネコにおいてもヒトやイヌ、マウスとは異なる培養条件が必要であると予想された。そこで、すでに樹立されているネコES細胞を入手し、最適な培養条件の検討を行った。複数の培養条件を検討した結果、現段階において最適と思われる培養条件を見出した。 並行して、エピソーマルベクターを用いたネコiPS細胞の樹立を行うため、ベクターの改良を進めた。また、ネコにおいては遺伝子発現解析法が十分に確立していないため、プライマーセットの設計および条件検討など、遺伝子発現の解析法確立を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までにネコiPS細胞は樹立されていないものの、RNAリプログラミングによるiPS細胞樹立条件について検討を行い、遺伝子導入条件の決定やiPS細胞様コロニーが出現するリプログラミング条件を見出すことができた。さらに、ネコES細胞を用い、培養条件について検討することができた。また、ネコではゲノム情報は利用できるものの、未だ遺伝子発現解析等に必要な各種ツールが乏しい状況にあるが、多能性状態を評価するための手法の確立を進めることができた。以上のことから、本申請研究の進捗状況は当初の想定と大きな相違はなく、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度から引き続き、ネコiPS細胞の樹立を試みる。令和6年度は、これまでに検討したRNAリプログラミング法に加え、エピソーマルベクターを用いた樹立法も検討し、これに用いるベクターの改良を進める。 さらに、ネコES細胞の培養条件について、現在はフィーダー細胞上で培養を行っているが、フィーダーレス培養の確立を試みる。 また、引き続きネコにおける遺伝子発現解析ツールの充実を図る。具体的には、定量PCRに用いるプライマーセットおよび免疫染色に用いる抗体について、ネコES細胞を用いて検討する。
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