研究課題/領域番号 |
23K05545
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
大倉 正稔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 上級研究員 (60508315)
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研究分担者 |
高松 大輔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, グループ長 (60414728)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | レンサ球菌 / 同定PCR法 / 牛の流産・異常産 / 正確な菌種同定 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、検査現場で実施可能なS. pluranimalium同定法を開発し、分離株を用いた遺伝子型別や薬剤感受性試験、全ゲノム比較解析及び株間の毒性の比較を行う。これにより、牛における保菌状況や被害状況について明らかにするとともに、牛の流産・異常産における、本菌の病原性・病体機序の解明つながる知見や流産・異常産の予防に有用な情報を得る。
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研究実績の概要 |
Streptococcus pluranimaliumは2000年以降、牛の流産や異常産の原因細菌として国内外で分離が報告されている。本菌は人獣共通感染症の原因となる可能性も指摘されているが、生化学性状による菌種同定が困難であるため、現場における画一的な検査では、正確に同定できていない可能性が高く、本菌の被害状況の実態は不明である。一方、我々の調査により、母牛の膣内から本菌が分離されることが明らかになった。これは、母牛膣内に分布する本菌の流産や異常産への寄与を示唆しているが、全ての株が病気と関連するのか、一部に病原性の高い株が存在し、そのような株が関連するのかについては分かっていない。本研究では、まず、通常の検査として実施可能なS. pluranimaliumの正確な同定法を開発する。これにより、牛の流産や異常産事例、保菌母牛の膣内からの本菌の分離・同定を簡便化し、本菌感染症の被害状況や牛における保菌率調査に活用する。さらに、収集した本菌分離株について、遺伝子型別や薬剤感受性試験、全ゲノム比較解析やin vitro の毒性評価など、包括的な解析を行い、牛の流産・異常産における、本菌の病体機序の解明や予防に有用な知見を得る。 本年度は、S. pluranimalium検出・同定法の開発を試みた。レンサ球菌属菌の種間の系統解析に利用されているハウスキーピング遺伝子の1つであるrecN遺伝子について、他の菌腫と塩基配列を比較することにより、特異的に検出可能なプライマーの設計に成功し、本菌の検出・同定PCR法を開発した。さらに、本PCR法を活用し、健康な母牛115頭の膣スワブ検体における保菌調査を行なった。その結果37%(42/115)が保菌しており、36頭からの分離にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していたS. pluranimaliumの簡易同定法の開発(PCR法)の成功し、本法については学術雑誌に既に公表されている。また、健康な牛からも菌株を収集することができた。菌株の遺伝子型別については、一部の健康株については既に終了しており、継続して解析している。流産・異常産由来株の収集については数株しか得られなかったため、次年度以降も引き続き実施していく必要があるが、概ね計画通りであり、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は引き続き開発したPCR法を活用して、菌株を収集することに加え、分離株の遺伝子型別を継続して実施する。さらに、分離株の薬剤感受性試験についても着手する。加えて、遺伝子型別や薬剤感受性試験の結果を考慮し、全ゲノム解析を行う株を選出し、一部については配列決定まで行う。
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