研究課題/領域番号 |
23K05547
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
谷口 怜 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 准教授 (60734465)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | ハートランドウイルス / バンダウイルス / ワクチン / SFTSウイルス / 非構造蛋白質 / NSs / ブニヤウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
ハートランドウイルス(HRTV)は米国で分離されたウイルスであり、日本でマダニ由来感染症の原因として問題となっている三種病原体のSFTSウイルス(SFTSV)と遺伝的に近縁である。HRTVは感染症法において非特定病原体であり、取り扱いが容易である。申請者は過去の研究で、HRTVの非構造蛋白質(NSs)は病原性因子で、NSs欠損HRTVは弱毒化するという知見を得た。そこでさらなるNSsの機能解析を行うと同時にNSs欠損HRTVのSFTSVを含むバンダウイルス感染症に対するワクチンとしての有用性を評価する。また、増殖の有無を定量化可能なHRTVを作製し抗ウイルス薬の探索をおこなう。
|
研究実績の概要 |
2023年度、ハートランドウイルス(HRTV)の持つ非構造蛋白質であるNSsの蛋白質N末端側にHiBiT配列を持つ組換えハートランドウイルス(rHRTV-NHiBiT)の性状解析を行なった。その結果、rHRTV-NHiBiTの増殖の有無はルシフェラーゼによる発光検出で可能であるが、NSs N末端にHiBiT配列を持つと、NSsのインターフェロン(IFN)経路阻害能が失われることが明らかとなった。特にIFN経路の機能性が損なわれていないA549細胞では、rHRTV-NHiBiTの増殖が著しく抑えられた。そこでN遺伝子のmRNA末端シグナルを阻害しないNSs C末端側にHiBiT配列を持つ、rHRTV-CHiBiTを3種新たに再構築した。その結果、3種中2種でウイルスレスキューに成功した。今後本ウイルスのNSs機能が失われていないか確認する予定である。NSsの機能に障害が見られない場合、本ウイルスを用いてハイスループット処理可能な抗ウイルス薬スクリーニングシステムを構築する予定である。 次にNSsに変異を持つ組換えHRTVがバンダウイルスに対するワクチンとして有効かどうかの評価をI型IFN受容体欠損マウスにおける感染実験で行なった。NSs変異導入HRTVで免疫、4週間後に野生型SFTSウイルスを接種した。その結果、NSs変異導入HRTVで免疫したマウスは全て生残、体重減少等も確認されなかった。NSs変異導入HRTVを免疫することで、バンダウイルス感染に対して防御免疫が誘導されていることが可能性が示唆された。免疫応答の詳細な解析については今後行なっていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
組換えウイルスであるrHRTV-NHiBiTのNSsの機能性が失われていることは想定外ではあったが、その後rHRTV-CHiBiTの産生に成功したため、順調であると考えている。また、NSsに変異を持つ組換えHRTVのワクチンとしての有効性の評価で良好な結果が得られたことも順調であると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
2024年度中にrHRTV-CHiBiTの機能性の確認、ハイスループット処理可能な抗ウイルス薬スクリーニングシステムを構築を目指す。また、NSsの機能解析として感染細胞あるいは感染動物臓器を用いたトランスクリプトーム解析を実施予定である。
|