研究課題/領域番号 |
23K05549
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
中牟田 祥子 岩手大学, 農学部, 特任研究員 (70724532)
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研究分担者 |
中牟田 信明 岩手大学, 農学部, 准教授 (00305822)
二階堂 雅人 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (70432010)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ハイギョ / 2型鋤鼻受容体 / 嗅上皮 / 鋤鼻器 / in situ hybridization / 鋤鼻受容体 / 発生関連遺伝子 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの四足動物は嗅上皮(OE)と鋤鼻器(VNO)、2つの嗅覚器を持つ。魚から四足動物への進化の過程で鋤鼻器が誕生したと考えられているが、その詳細については不明である。両生類に最も近縁な魚であるハイギョはOEの他に原始的VNO (陥凹部上皮,RecE)を持つ。本研究は、「嗅覚受容体の発現と発生機序に関して、ハイギョのRecEと四足動物のVNOの間の共通点および相違点を明らかにするため、RecEにおける2型鋤鼻器受容体(V2R)および発生関連遺伝子群の発現を調べる。この研究成果は、脊椎動物の進化の過程でVNOが誕生した経緯や、ハイギョのRecEと四足動物のVNOの形態が異なる原因を解明する糸口になることが期待される。
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研究実績の概要 |
多くの四足動物は嗅上皮(OE)と鋤鼻器(VNO)、2つの嗅覚器を持つ。魚から四足動物への進化の過程で鋤鼻器が誕生したと考えられているが、その詳細については不明である。四足動物において嗅覚受容体の発現はOEとVNOの間で分離し、例えば両生類のツメガエルの2型鋤鼻受容体(V2R)は、OE特異的に発現するものとVNO特異的に発現するものに厳密に分類される。両生類に最も近縁な魚であるハイギョは、魚のOEに類似したラメラOEの他に、四足動物のVNOに類似した陥凹部上皮(RecE)を持つ。本研究は、「嗅覚受容体の発現と発生機序に関して、ハイギョのRecEと四足動物のVNOの間の共通点および相違点を明らかにするため、RecEにおける2型鋤鼻器受容体(V2R)および発生関連遺伝子群の発現を調べること」を目的としている。 2023年度は、主にアフリカハイギョProtopterus annectensについて、in situ hybridizationによりV2R発現解析を行った。P. annectensのV2R遺伝子は発現パターンにより、①ラメラOE特異的に発現するもの、②ラメラOEとRecEの両方に発現するもの、③RecE 特異的に発現するものの3つに分類された。P. annectensのV2R遺伝子の系統樹において、②ラメラOEとRecEの両方に発現するV2Rと③RecE特異的に発現するV2Rは1つのクレードに集中し、その他のV2Rは①ラメラOE特異的に発現するV2R だった。さらに、一部のV2Rは個体間で発現パターンが異なっていた。ある個体はRecE特異的に発現しているが、別の個体はラメラOEとRecEの両方に発現しているV2Rもあれば、ある個体ではラメラOE特異的に発現しているが、別の個体ではラメラOEとRecEの両方に発現しているV2Rもあった。これらの結果は、ラメラOEとRecEの両方に発現するV2Rが、ラメラOEとRecEいずれかでの発現を失い、RecE特異的に発現するV2R、あるいはラメラOE特異的に発現するV2Rになったことを示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハイギョのV2Rに関しては、研究期間(2023年~2025年度)内に、4種のアフリカハイギョと1種の南米ハイギョについて、V2R遺伝子の同定と嗅覚器における発現解析を行う予定だった。2023年度は主に成体のP.annectensについて詳細なV2R発現解析を行い、V2Rは、ラメラOE特異的に発現するもの、RecE特異的に発現するもの、ラメラOEとRecEの両方に発現するものの3つに分類できること、一部のV2Rは個体間で発現パターンが異なることを明らかにした。P. annectensのV2R発現についての投稿論文を現在準備中である。さらに、幼体P. annectensにおけるV2R発現解析を開始しており、一部のV2Rは幼体と成体の間で発現パターンが異なる可能性を見出している。また、P. annectens以外の4種のハイギョについても、V2R遺伝子の同定と、1個体分のV2R発現解析は既に行っている。全体的にみるとおおむね順調に進展し、最終的には計画通りの実験データを得られる見込みが立っている。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は幼体P. annectensにおけるV2R発現解析を進め、幼体と成体との間のV2R発現の比較をテーマにした論文を投稿する。さらに、四足動物のVNOの発生・発達に関連する遺伝子群がハイギョのRecEに発現するか、その発現によってRecE予定域が同定できるかを明らかにすることを目的として、2024年度は候補遺伝子の選定とクローニングを行う。2025年度に嗅覚器におけるin situ hybridization発現解析を行う。
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