研究課題/領域番号 |
23K05561
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 日本獣医生命科学大学 |
研究代表者 |
田村 恭一 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (00722282)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 犬 / 悪性黒色腫 / 骨髄由来抑制細胞 / 免疫抑制 / キナーゼ阻害剤 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、犬悪性黒色腫により誘導されるMDSCによる免疫抑制機構を調節しているシグナル経路を網羅的に解析し、MDSCが依存するシグナル経路を阻害することによる犬悪性黒色腫に対する新規治療候補薬を探索することを目的とした。 具体的な研究項目としては、①犬の骨髄細胞と悪性黒色腫株化細胞を用いて分化誘導したMDSCの機能解析、②キナーゼ阻害剤ライブラリーを用いたMDSCに対する抗免疫抑制効果を有する薬剤の探索、③悪性黒色腫罹患犬の血中MDSCに対する候補薬剤の抗免疫抑制効果の検討の3つを計画している。
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研究実績の概要 |
本研究では、悪性黒色腫により誘導されるMDSCによる免疫抑制機構を調節しているシグナル経路を網羅的に解析し、そのシグナル経路を阻害することにより犬の悪性黒色腫に対する新規治療候補薬を探索することを目的とした。 2023年度の研究成果として、犬の骨髄単核球をGM-CSFおよびIL-6存在下で培養し、さらに悪性黒色腫株化細胞培養上清を添加することにより、犬の骨髄単核球から効率的にCD11b+Gr-1+細胞を分化誘導できた。また、培養した細胞からフローサイトメーターを用いたソーティングによりCD11b+Gr-1+細胞を精製し、その機能を解析したところ、CD11b+Gr-1+細胞はMDSCに特徴的な機能であるArginase活性、NOおよびROSといった免疫抑制因子を有していた。このことから、犬の骨髄細胞からGM-CSFおよびIL-6を用いてMDSCを効率的に分化誘導できることが明らかとなった。さらに、骨髄細胞から分化誘導したMDSCは、添加する悪性黒色腫株化細胞培養上清の種類により、その免疫抑制機能に相違が認められた。このことは、同一種のがんであっても、それぞれの株化腫瘍細胞により培養上清中に分泌される液性因子が異なっているためと考えられた。これらの結果は、悪性黒色腫罹患犬において誘導されるMDSCが個体ごとに異なる免疫抑制機構を有していることと類似しており、本研究により確立した犬の骨髄細胞を用いたMDSCの分化誘導法が今後の犬の悪性黒色腫に対する新規治療候補薬の探索に有用であると考えられた。現在、本研究で確立した方法により、犬の骨髄細胞と悪性黒色腫株化細胞を用いてMDSCを分化誘導し、キナーゼ阻害剤によるMDSCのT細胞増殖抑制への影響を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、犬の骨髄細胞と犬悪性黒色腫を用いてMDSCを分化誘導し、その細胞を用いて犬悪性黒色腫により誘導されるMDSCによる免疫抑制機構を調節しているシグナル経路を網羅的に解析し、そのシグナル経路を阻害することにより犬悪性黒色腫に対する新規治療候補薬を探索することを目的とした。犬悪性黒色腫により誘導されるMDSCによる免疫抑制機構を調節しているシグナル経路をin vitroにおいて網羅的に解析するためには大量のMDSCが必要となる。そこで、2023年度研究計画では、犬の骨髄細胞と犬悪性黒色腫を用いたMDSC分化誘導法の確立およびその機能解析を計画していた。 これまでの研究成果から、犬の骨髄細胞からGM-CSFおよびIL-6を用いてMDSCを効率的に分化誘導できることが明らかとなった。さらに、骨髄細胞から分化誘導したMDSCは、添加する犬悪性黒色腫株化細胞培養上清の種類により、その免疫抑制機能に相違が認められ、このことは、悪性黒色腫罹患犬において誘導されるMDSCが個体ごとに異なる免疫抑制機構を有していることと類似しており、本研究により確立した犬の骨髄細胞を用いたMDSCの分化誘導法が今後の犬の悪性黒色腫に対する新規治療候補薬の探索に有用であると考えられた。このため、今後は、今回確立した方法により犬MDSCを大量に分化誘導し、そのMDSCを用いて、「犬悪性黒色腫により誘導されるMDSCが依存するシグナル経路を阻害することにより抗免疫抑制効果が得られる薬剤の探索」を研究計画通りに実施できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの研究結果から、2023年度の研究計画は順調に進展しており、犬の骨髄細胞からGM-CSFおよびIL-6を用いてMDSCを効率的に分化誘導できることが明らかとなった。さらに、骨髄細胞から分化誘導したMDSCは、添加する悪性黒色腫株化細胞培養上清の種類により、その免疫抑制機能に相違が認められ、このことは、悪性黒色腫罹患犬において誘導されるMDSCが個体ごとに異なる免疫抑制機構を有していることと類似しており、本研究により確立した犬の骨髄細胞を用いたMDSCの分化誘導法が今後の犬の悪性黒色腫に対する新規治療候補薬の探索に有用であると考えられた。 そこで今後は、犬悪性黒色腫により誘導されるMDSCによる免疫抑制機構を調節しているシグナル経路を網羅的に解析することを目的として、キナーゼ阻害剤ライブラリーを用いてMDSCに対する抗免疫抑制効果を有する薬剤を探索する。実験には、これまでに確立した方法により犬の骨髄細胞と犬悪性黒色腫株化細胞を用いて分化誘導したMDSC および米国のSelleck社よりすでに購入している418種類のキナーゼ阻害剤を含むキナーゼ阻害剤ライブラリーを用いる。具体的には、分化誘導したMDSCと同一個体の末梢血T細胞を抗犬CD3抗体存在下で共培養し、培養中に0.1あるいは1μMの濃度でキナーゼ阻害剤を添加しMDSCによるT細胞増殖抑制を評価する。T細胞の増殖は細胞染色蛍光色素CFSEによる標識およびWST-8による発色測定により評価する。さらに培養上清中のIL-2およびIFN-γ濃度をELISA法で測定する。この実験により、犬悪性黒色腫により誘導されるMDSCに対して抗免疫抑制効果を有するキナーゼ阻害剤を明らかにすることができると考えられる。
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