研究課題/領域番号 |
23K05570
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42020:獣医学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
奥田 優 山口大学, 共同獣医学部, 教授 (10325243)
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研究分担者 |
上林 聡之 山口大学, 共同獣医学部, 助教 (50796414)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 犬 / リンパ腫 / 抗がん剤耐性 / 抗がん剤 / 耐性克服 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では犬リンパ腫に対するL-アスパラギナーゼ耐性機構を明らかにするとともに,ロムスチンを併用することで得られるL-アスパラギナーゼ耐性克服機構を証明する。加えて犬のリンパ腫のみならず,犬のその他の腫瘍,さらにはヒトの様々な腫瘍の抗がん剤耐性克服にも応用の可能性がある新たな抗がん剤の相互作用の検討も行う。ヒトのリンパ腫の治療は骨髄移植,抗体療法,CAR-T療法などで行われるが,これらは非常に高額または実施できる施設が限られている。対して抗がん剤治療は安価でかつ多くの施設で実施可能であることから,本研究で得られる成果は犬のリンパ腫治療に対して世界的に広く用いられることが期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では犬のリンパ腫において抗悪性腫瘍酵素製剤であるL-アスパラギナーゼとニトロソウレア系アルキル化剤であるロムスチンの併用により,それぞれの薬剤単剤に対する耐性機構を回復するような相互作用があると仮説を立て研究を行っている。具体的には,アスパラギン合成酵素 (ASNS)やO6-methylguanine-DNA methyltransferase (MGMT)などの抗がん剤耐性に関与する可能性がある分子の遺伝子と蛋白の発現を解析することで耐性克服機構を明らかにすることを目的としている。 令和5年度は暴露用量の漸増によりL-アスパラギナーゼ耐性を誘導した犬リンパ腫細胞株を用いて,ロムスチンに対しても耐性を示す細胞株の作製を試みた。しかしながら,現時点ではロムスチンに対する十分な耐性が誘導できておらず,使用した犬リンパ腫細胞株に問題がある可能性が考えられた。 また,仮説の一つであるロムスチンによるmRNAの発現抑制を検討するため,ロムスチンの添加によるmRNAの発現の変化を検討している。計画していたASNS,MGMTの発現に加え,p21,p53や複数の内在性コントロール遺伝子の発現も検討している。予備的検討としてリンパ腫細胞株にロムスチンを添加し,内在性コントロール遺伝子であるβactin,GAPDH,RPL32の遺伝子発現をreal-time PCRにより解析したが,いずれもロムスチンの添加による発現の減少は認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していたL-アスパラギナーゼとロムスチンの二重耐性細胞株の作製が培養時に加える抗がん剤の誘導によってうまく行えていないことが原因の一つである。また,Real-time PCRにて研究室内で使用する試薬や機材が先行研究より変化したため,条件の設定や安定化に時間を要したこともやや遅れの原因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
Real-time PCRによって,複数の細胞株を用いてASNS, Legumain, CathepsinB, MGMTやチェック・ポイント分子について遺伝子発現を解析する。遺伝子発現が低下していることが確認できれば,どのような発現パターンの変化があるかについて,RNA-seqにより網羅的に解析を行いたい。 L-アスパラギナーゼ・ロムスチン両耐性細胞株の作製を前年度より継続して行うとともに,うまく耐性が入らない場合を考えて,他の細胞株にも新たに耐性を導入していく。これらの細胞株を用いてL-アスパラギナーゼおよびロムスチンの単剤または併用処理による遺伝子発現の変化をもとに相互作用のメカニズムを考察する。
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