研究課題/領域番号 |
23K05611
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設) |
研究代表者 |
大関 淳一郎 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(機構直轄研究施設), 生命創成探究センター, 特任助教 (30514088)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 人工染色体 / ヒト人工染色体 / 微小核 / 微小核細胞 / マイクロセル / ウイルス様粒子 / 遺伝子治療 / エピゲノム編集 / 染色体移植 / 肺疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
ゲノム解読技術が進歩し、個人ゲノムから遺伝的な病因・発症リスクを読み取れるようになってきた。その反面、薬や治療法が準備されていない疾患も多い。これに素早く対応できるのは、遺伝子自体を薬とする方法や、Cas9等のゲノム編集遺伝子を用いて疾患部のゲノム(エピゲノム)を修正する方法等、遺伝子導入による治療法である。現在、安全に遺伝子導入できるDNA長は5kb程度だが、様々な疾患に対応するためには上限を引き上げる必要がある。本研究では、100kb以上のDNAを搭載可能なヒト人工染色体ベクターを用い、標的細胞に効率よく長いDNAを導入する技術を開発するとともに、実際に肺疾患治療ができるかの検証を行う。
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研究実績の概要 |
ヒト人工染色体ベクターを遺伝子導入に用いることを目的とし、これを宿主染色体から分離・精製して遺伝子導入に用いるための技術開発、並びに、これらの用途に適したヒト人工染色体の作製を進めている。 今年度は、まずヒト人工染色体上に治療用遺伝子を搭載するため、部位特異的な組換え配列(LoxP)を持つヒト人工染色体ベクターを構築した。このヒト人工染色体上には、LacIタンパク質の結合配列であるLacOが、約340bpに1回の頻度で埋め込んであり、LacIと融合させた任意のタンパク質を結合させることができる。 次に、このヒト人工染色体をウイルス様のマイクロセル(微小核細胞)として細胞外に出芽させることができるかを検証するため、ウイルスのパッケージングに関わるgag遺伝子とLacI遺伝子、蛍光標識のための遺伝子を融合させた合成遺伝子を作製した。このgag融合タンパク質をヒト人工染色体保持細胞で発現させ、ヒト人工染色体に対するFISHと組み合わせて蛍光顕微鏡観察したところ、ヒト人工染色体上へのgag融合タンパク質の結合が確認できた。また、分裂期の細胞内において、gag融合タンパク質が結合したヒト人工染色体が、他の染色体とは離れた場所に局在している場合も一定頻度で観察されており、染色体分配機構から脱落している可能性が示唆された。なお、このヒト人工染色体がウイルス様のマイクロセルとして細胞外に出芽できるのかについては、今後複数の条件下で詳細に確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、研究機関移動に伴う研究試料・環境の整備に時間を要したため、若干の遅れが生じた。(現在、環境は整っており、遅れは挽回可能と見込まれる。)
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今後の研究の推進方策 |
今年度確認できなかった、ヒト人工染色体を含むウイルス様マイクロセルの出芽条件が確認でき次第、計画通り標的細胞へのマイクロセル導入実験を進める。また、出芽しなかった場合でも、脱落したヒト人工染色体を微小核由来のマイクロセルとして物理的に単離できる可能性は高いため、これを用いて計画に沿った研究を進める予定である。
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