研究課題/領域番号 |
23K05612
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
井上 由紀子 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 疾病研究第六部, リサーチフェロー (30611777)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | エピトープタグ / ゲノム編集 / ノックインマウス / オキシトシン受容体 / タグノックインマウス / タンパク質細胞内局在可視化 |
研究開始時の研究の概要 |
神経細胞は厳格な極性と複雑な形態を持ち、シナプスを介して他の細胞と連絡を取り合い、情報処理を行う。この能力を支えるのは、受容体・細胞骨格などを構成するタンパク質の緻密に制御された発現である。よって、研究対象とする分子が細胞内のどこに在るのかという位置情報は、その機能を知る上で必須である。マウス受精卵を用いたゲノム編集技術により、標的タンパク質にタグを付けたノックインマウスを作製し、タグに対する抗体を用いて標的分子を検出する手法がとられるが、従来のタグでは感度や解像度が不十分であった。本研究では近年開発された新規タグを用いて、従来タグの限界を超える高感度なタンパク質細胞内局在可視化法を確立する。
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研究実績の概要 |
神経細胞は厳格な極性と複雑な形態を持ち、シナプスを介して他の神経細胞やグリア細胞と連絡を取り合い、情報を伝達する。この驚異的な処理能力は、受容体・チャネル・シナプス小胞・細胞骨格等を構成するタンパク質の緻密に制御された発現に支えられている。そのため、研究対象とする分子が細胞体に発現するのか、軸索や樹状突起にあるのか、シナプスに局在するのかという位置情報は、その機能を知る上で必須である。標的タンパク質の細胞内局在を生体内組織レベルで可視化しようとする際、シグナル対ノイズ比(S/N比)が大きい良質な抗体が市販されておらず、入手できないという問題が頻発する。対処法として、標的タンパク質に「タグ」を付加したノックインマウスをゲノム編集により作出し、タグに対する特異的抗体を用いて検出する手法をとるが、従来のエピトープタグでは依然、標的分子の細胞内局在を高解像度で検 出するには不十分であった。本研究では、近年開発された複数の新規タグについて、マウス組織への適用が有効であるかどうかを評価選別し、神経科学のみならず、1細胞RNAシーケンシング(scRNA-seq)全盛期の生命科学研究全般を支える、より高感度なタンパク質局在可視化技術として確立することを目的とする。当該年度は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)に属するオキシトシン受容体(Oxtr)を対象として、smFP-HAタグ(Spaghetti Monster)、ALFAタグ、Halo Tag(化学タグ)のノックインマウスを作出する計画であったが、受精卵を用いたゲノム編集法により、これら3つの新規タグのノックインマウス系統を樹立することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
過去の研究において樹立した従来型エピトープタグ(HAタグ)ノックインマウスと比較するため、前項の「研究実績の概要」に記した3種の新規タグノックインマウスを予定通り作出することができた。
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今後の研究の推進方策 |
「研究実績の概要」に記した3種の新規タグノックインマウスについて、下記のように、過去において作製した従来型エピトープタグ(HAタグ)ノックインマウスと比較し、新規タグの有効性を検証する。 (1)過去において樹立したオキシトシン受容体-HAタグノックインマウスでは、オキシトシン受容体の発現が高い幼若期マウス脳では比較的感度良くタンパク質局在を検出できていたが、週齢が進んだ成体脳ではシグナルが不鮮明であったので、新規タグノックインマウスで改善されているかを確認する。 (2)過去において樹立したオキシトシン受容体-HAタグノックインマウスでは、オキシトシン受容体の発現が低い小脳での検出が困難であったので、新規タグノックインマウスで改善されているかを確認する。これまでツール不足のためほとんど報告がない神経発生発達期のオキシトシン受容体の発現変容について、新規タグノックインマウスを用いて観察する。 (3)過去において樹立したオキシトシン受容体-HAタグノックインマウスでは神経細胞の軸索末端や樹状突起スパインでのタンパク質局在を検出するには不十分であったので、新規タグノックインマウスを用いて、超解像度顕微鏡での観察が可能かを検証する。
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