研究課題/領域番号 |
23K05621
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
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研究機関 | 公益財団法人実験動物中央研究所 |
研究代表者 |
上原 正太郎 公益財団法人実験動物中央研究所, 実験動物応用研究部, 室長代理 (10733123)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 肝臓ヒト化マウス / 薬物代謝 / シトクロムP450酸化還元酵素 / カルボキシルエステラーゼ / ヒト肝キメラマウス / チトクロムP450 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、極めて高度なヒト型肝薬物代謝能を有する新しい肝臓ヒト化マウスを基盤に、"ヒト型薬物性肝障害モデル”を開発し、ヒト特異的な肝毒性発現機序を解明するとともにその発症予測評価系を構築する。我々が開発した肝臓ヒト化マウスに、1)遺伝子改良によってマウス肝細胞由来の主要な薬物代謝酵素によるノイズ的影響を排除し、2)その新規ヒト化マウスを基盤に作製した薬物性肝障害モデルを利用して医薬品の代謝的活性化に基づく毒性学的評価を実施する。質量分析イメージングによる代謝物の分布可視化とオミクス解析を組み合わせたアプローチにより肝毒性発現機序を解明し、臨床予測性の高い毒性バイオマーカーを探索する。
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研究実績の概要 |
ヒトにおける化学物質曝露による肝毒性を精度よく検出できるin vivo評価系の確立を目指して、マウス薬物代謝酵素の異物代謝への干渉が最小限に抑えられた肝臓ヒト化マウスの作製を実施している。シトクロムP450酸化還元酵素(Por)欠損マウスは、肝臓ヒト化マウスの肝臓に残存するマウス肝細胞の影響を低減するために作製された。これまでに樹立した動物ではCyp3a11プロモーター下でFlippase遺伝子を挿入していたが、肝組織のPor欠損肝細胞の割合は個体によって多少ばらつきが認められた。そこで、より確実にかつ安定して肝組織のPorを欠損させるために、アルブミンプロモーター下にFlippase遺伝子を挿入した動物を作製した。現在、肝組織のPor発現分布や肝薬物代謝能の評価を進めている。また肝臓ヒト化マウスの肝外組織のマウス薬物代謝酵素は異物代謝に影響を及ぼしている。げっ歯類特有の血漿Ces1c酵素は肝臓で作られるが、肝臓ヒト化マウスの血漿にも存在している。肝臓ヒト化マウスの肝臓以外の組織の薬物代謝能をよりヒトに近づけるため、Ces1c遺伝子のエキソン5を含む領域を欠損したマウスを作製した。本マウスはウェスタンブロット解析により血漿のCes1cタンパク質が欠損していること、さらに血漿のオセルタミビル加水分解酵素活性が著しく低下していることを確認した。現在、Ces1c欠損肝臓ヒト化マウスの特性解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
改良型シトクロムP450酸化還元酵素欠損(Por cKO)マウスおよびげっ歯類特有の血漿Ces1c酵素欠損マウスを作製した。マウス血漿Ces1c欠損マウスは期待されている表現型が得られていることを確認した。現在、改良型Por cKOマウスの特性解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
改良型シトクロムP450酸化還元酵素欠損(Por cKO)マウスおよびげっ歯類特有の血漿Ces1c酵素欠損マウスを基盤として肝臓ヒト化マウスを作製し、化学物質投与後の未変化体と代謝物の体内動態や毒性の評価を進める。肝臓ヒト化マウス由来の肝細胞を用いたin vitro薬物動態・肝毒性評価系も活用しながら、新しい肝臓ヒト化マウスがより精度よくヒトにおける化学物質の体内動態および毒性を予測するための優れた実験動物であるかどうか検証していく。
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