研究課題/領域番号 |
23K05637
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
石井 英治 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (10835698)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | lncRNA / 腸炎ビブリオ / べん毛 / 機能性RNA / non-coding RNA / Vibrio parahaemolyticus / lnc RNA |
研究開始時の研究の概要 |
細菌における長鎖ノンコーディングRNA (lncRNA)は、情報伝達、代謝、環境適応などの重要な生体プロセスで必須の役割を果たしている。近年、申請者らは、RNA配列を直接読み取るRNA-Seq (direct RNA-Seq)を用い食中毒原因細菌である腸炎ビブリオのRNA発現プロファイルと鎖長に関する情報を取得した。それらの情報から腸炎ビブリオに複数のlncRNAが存在する可能性が示唆された。本研究では、腸炎ビブリオに見出したlncRNA候補の生物学的・生化学的機能を明らかにすることにより、細菌におけるlncRNAの基本的な役割や病原性における重要性に迫る。
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研究実績の概要 |
細菌におけるlncRNAは、真核生物に比べると数が少なくその多くの機能や役割は十分に理解されてないが、生命のコアプロセスにおいて重要な役割を果たしていることが知られている。一方で、その長さから配列の保存性や塩基対形成から機能を予測することは難しく、未だ機能が明らかになっていないものが多い。本研究課題では、細菌のlncRNAが如何にして生化学的機能を発揮し生物学的役割を果たすのかという問いに、腸炎ビブリオのトランスクリプトーム解析から得られたlncRNA候補の機能を明らかにすることで迫る。
これまでの研究で、低塩濃度や胆汁酸の存在によって腸炎ビブリオ病原性アイランド(Vp-PAI)上にコードされる遺伝子(lncRNA candidate4, lncRNAcan4)の発現が誘導され、その発現依存的に極べん毛による遊泳能が抑制されることを明らかにしてきた。本年度は、この遺伝子がコードされているPAI領域を強く誘導する条件を用いて、lncRNAcan4の作用メカニズムの詳細な解析に取り組んだ。具体的には、胆汁の二次代謝産物である二次胆汁酸を誘導物質として用いた。まず、lncRNAcan4遺伝子の発現に対する二次胆汁酸添加の影響を調べたところ、胆汁酸添加時と比較して有意な発現の増加が観察された。べん毛遺伝子群の発現は、そのマスターレギュレーターであるFlaK(ClassI)を起源として4つのクラスに分類される。二次胆汁酸添加時では、lncRNAcan4が特定のクラスの遺伝子発現を抑制することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
二次胆汁酸を誘導物質として使いlncRNAcan4の発現量を上げることで、より解像度の高い遺伝子発現プロファイルを得ることができた。一方、それにより当初標的因子として想定していた因子が候補から外れ、標的を決定することができなかったため。また、その他のlncRNA候補については研究を進められていないため。
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今後の研究の推進方策 |
lncRNAca4は、プルダウンアッセイなどの生化学的手法を用いて、RNA4が何を標的としてべん毛遺伝子の発現を制御しているのかを明らかにし、その制御の分子機構について検証する。その他のlncRNA候補については計画書通りに非コード性と機能性について検証を行う。
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