研究課題/領域番号 |
23K05638
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
藤本 充章 山口大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (80359900)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | HSF1 / CBFA2T2 / がん / エピゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
HSF1は、熱ショックタンパク質を誘導して細胞内のプロテオスタシス容量を調節する主要な因子で、その活性化はがんの進展を支える。これまでに熱ストレス刺激でのHSF1依存的なクロマチン弛緩やRNAポリメラーゼIIのリクルートを介した転写制御機構が解明されてきた。ChIP-MS解析からHSF1相互作用タンパク質としてCBFA2T2とPRDM6を同定し、これらはヒストンアルギニンメチル化酵素CARM1やアセチル化酵素p300などと相互作用してヒストンを修飾する可能性がある。本研究では、新規HSF1-CBFA2T2-PRDM6複合体によるターゲット遺伝子群のヒストン修飾変化および転写制御機構を解明する。
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研究実績の概要 |
HSF1活性とプロテオスタシス容量は老化とともに低下し、それが老化と関連する神経変性疾患の進行を促す。一方、がん細胞では活性化したMEKキナーゼがSer326のリン酸化を介してHSF1を活性化した状態にしており、がんの発生や進展はHSF1依存的である。HSF1活性化とクロマチン修飾変化はがん増殖に共に関与することから、HSF1複合体の1つであるCBFA2T2の解析を行った。 悪性黒色腫細胞株(MeWo)を用いて、HSF1とCBFA2T2の相互作用を明らかにした。さらに、HSF1とCBFA2T2の欠損変異体を作成し、それぞれの結合領域を免疫沈降法によって同定し、相互作用しない変異体を作成した。HSF1-CBFA2T2複合体の制御遺伝子を同定するために、MeWo細胞でHSF1あるいはCBFA2T2のノックダウンを行い、DNAマイクロアレイ法を行った。その結果、コレステロール合成に関わる多くの遺伝子の転写制御の促進にHSF1-CBFA2T2複合体が関与することが分かった。MeWo細胞での、これらのターゲット遺伝子の発現は、内在性のHSF1をHSF1-CBFA2T2複合体の形成を阻害するHSF1変異体に置換することで顕著に抑制することが分かった。また、ターゲット遺伝子のプロモーター領域には、HSF1とCBFA2T2がリクルートされ、HSF1-CBFA2T2複合体の形成を阻害するHSF1変異体ではそれぞれのリクルートが抑制されることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HSF1-CBFA2T2複合体を阻害するHSF1変異体およびこの複合体形成に必要なCBFA2T2領域を同定している。また、悪性黒色腫細胞株(MeWo)における、HSF1-CBFAT2T2複合体のターゲット遺伝子を明らかにした。ChIPアッセイ解析から、HSF1やCBFA2T2は同定したターゲット遺伝子のプロモーター領域にリクルートされ、さらにHSF1-CBFA2T2複合体形成を阻害するHSF1変異体ではリクルート量は減少した。 以上のことから、申請書の計画書に記載していた今年度の実験であり、おおむね順調に研究が遂行されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、HSF1-CBFA2T2複合体と共に働くコアクティベーターを同定するために、MeWo細胞にCBFA2T2-TurboID、HSF1-TurboIDを発現させ、近位依存性ビオチン標識(TurboID)法と定量プロテオミクスを組み合わた方法により明らかにする。さらに、ChIPアッセイにより同定したコアクティベーターがターゲット遺伝子上にリクルートすること、また周辺部のヒストン修飾変化を明らかにする。MeWo細胞を用いて、HSF1あるいはCBFA2T2のノックダウンを行い、ChIP-seq解析によってゲノムにおけるヒストン修飾変化を網羅的に検討する。
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