研究課題/領域番号 |
23K05643
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
土谷 佳樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30456777)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 概日リズム / 発生 / 時計タンパク質 / タンパク質間相互作用 / 細胞内局在制御 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類の概日リズムは、初期胚や胚性幹細胞(ES細胞)には見られず、発生過程で細胞分化に伴って形成されることが分かっている。しかし、概日時計の発生に関する詳細な分子機構はまだ明らかでない。そこで本研究では、マウスES細胞の分化前後における時計タンパク質複合体の違いを解明し、新たな時計タンパク質結合因子を特定することで、未分化細胞で概日リズムが発振しない理由と細胞分化中にリズムが形成されるメカニズムを明らかにすることを目的とする。概日時計発生機構の解明は概日時計の理解とそれに基づく疾患治療を始めとした応用開発につながることが期待される。
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研究実績の概要 |
哺乳類の概日リズムは初期胚や胚性幹細胞(ES細胞)では見られず、発生過程において細胞分化に伴い形成されることが明らかになっている。概日時計の成立において時計タンパク質群の細胞内動態の適切な制御が重要であることは明らかであるが、それが細胞分化に伴いどのように形成されていくかという点は不明である。本研究では、マウスES細胞の分化誘導系を用いて哺乳類概日時計の発生前後の時計タンパク質複合体の細胞内動態を詳細に比較解析することで、分化前後での時計タンパク質動態の変化を明らかにすることを目的としている。 現在、CRISPR/Cas9による内在性時計遺伝子へのエピトープタグノックインを行って、概日時計発生前後の時計タンパク質複合体の時刻依存的な結合状態や細胞内局在の変化等の細胞内動態を解析中である。まず、マウスES細胞において、Bmal1、Per1および Cry1などの内在性の時計遺伝子に3xFLAGタグをノックインすることで、複数のES細胞株を作出した。ノックインはCRISPR/Cas9と1本鎖ドナーDNAを用いた手法で行った。各ES細胞株についてタグ付加タンパク質の発現や細胞分化に伴い形成される概日リズムの評価を行い、概日リズム形成能が維持されていることを確認した後に実験に使用している。既に作出した3xFLAGタグノックインした細胞株については、抗FLAG抗体によるタンパク質発現の検出および正常な概日リズム形成が確認できている。さらに、ES細胞分化前後の時計タンパク質複合体形成について現在解析中である。本実験系によって哺乳類概日時計発生過程における時計タンパク質動態の詳細が明らかになると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスES細胞において、既にBmal1、Per1および Cry1などの複数の内在性時計遺伝子に3xFLAGタグをノックインした細胞株を樹立できており、スムーズに研究を進めることができている。各ES細胞株についてタグ付加タンパク質の発現や細胞分化に伴い形成される概日リズムの評価も行っており、概日リズム形成能が維持されていることを確認している。また、抗FLAG抗体による3xFLAGタグ融合タンパク質の検出も確認済であり、研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は作出した遺伝子改変ES細胞株を用いて、予定通りES細胞分化前後の時計タンパク質複合体形成について解析を行う。これにより、ES細胞の分化前および分化誘導過程において、概日時計形成機構におけるタンパク質レベルでの制御・動態の変化を明らかにしていく。また、今年度は質量分析による時計タンパク質結合因子の同定も行う予定である。網羅的な結合タンパク質の検出により、ES細胞において時計タンパク質と相互作用する未知の制御因子を探索し、未分化ES細胞における概日時計発振抑制機構の鍵となる因子の同定を目指す。
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