研究課題/領域番号 |
23K05649
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
木下 和久 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (60447886)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 染色体 / 細胞分裂 / 細胞周期 |
研究開始時の研究の概要 |
コンデンシンIとコンデンシンIIは、分裂期染色体の構築過程において中心的役割を果たすタンパク質複合体である。本研究では、研究代表者らのこれまでの研究を基に立てた「複数のコンデンシンI間の物理的相互作用が迅速な染色体軸形成とその安定化に貢献する」という仮説についてさらなる検証を進めると共に、そのメカニズムがコンデンシンIIにも保存されているかどうかを解析する。コンデンシン複合体が有する高次階層の活性の理解を深めることにより、染色体構築の分子メカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
コンデンシンIとコンデンシンIIは、分裂期染色体の構築過程において中心的役割を果たすタンパク質複合体である。本年度は、コンデンシンIで見出されてきた複合体間相互作用のメカニズムがもう一方のコンデンシンであるコンデンシンIIにおいても保持されているのかどうかに特に注目し解析を進めた。コンデンシンIでは、CAP-Gサブユニットを欠失させた四量体サブ複合体をカエル卵抽出液に導入すると、細い軸と綿毛状の表面からなるユニークな染色体形態が観察される。またトポイソメラーゼIIの免疫除去によってDNAの絡み合いが解けない状況を強制的に作り出すと、我々が「豆(bean)表現型」と名付けた特徴的な形態が観察される。そこでコンデンシンIIをこのアッセイに供してみると、CAP-G2サブユニットを欠失させた四量体サブ複合体で豆構造が形成されるのみならず、全てのサブユニットを含む五量体の野生型ホロ複合体についても同様な豆表現型が観察されることがわかった。興味深いことに、上述の観察結果とは対照的に、コンデンシンIIのCAP-D3サブユニットのカルボキシル末端側にあるIDR (intrinsically disordered region) ドメインの一部を欠失させた変異型ホロ複合体 holo(D3-dC201) では、コンデンシンIの野生型ホロ複合体と同様なクロマチンの凝集体が形成されることがわかった。これらの結果からコンデンシンII独自の負の制御メカニズムの存在が明らかになり、二つのコンデンシンが両者に共通する相互互換可能な機能を保持しつつ、同時に各々の役割を果たすための独自の制御機構を備えていることが示唆された。以上のこれまでの研究成果についてまとめ論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度(2023年度)当初に立てた研究実施計画のうち、中心的課題の一つとして位置付けていたコンデンシンIIの機能解析が順調に進み、目標としていた本年度内の論文受理・公表まで達成することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の進捗を踏まえ、今後は本研究計画のもう一方の中心課題であるコンデンシンIの複合体間相互作用メカニズムの解明に重きを置いて研究を推進していく。「複数のコンデンシンI間の物理的相互作用による協調的な働きが染色体軸形成とその安定化に貢献する」という仮説についてさらなる検証を進めるための実験系の確立に取り組む。
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