研究課題/領域番号 |
23K05705
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 公益財団法人岩手生物工学研究センター |
研究代表者 |
竹田 匠 公益財団法人岩手生物工学研究センター, ゲノム育種研究部, 主任研究員 (80423036)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | CRRSP / DUF26 / アポプラスト / 過敏感細胞死 / 耐病性 / イネ / Cell wall / Apoplast / Protein interaction / antifungal activity |
研究開始時の研究の概要 |
CRRSPs (Cysteine-rich repeat secretion proteins) は、陸上植物において存在するタンパク質であり、耐病性やストレスなどに深く関与していることが推察されている。一方、CRRSPsの分子機構が明らかになっているのは1つ (OsCBMIPがCBM1 の機能を阻害し、耐病性を強化していること) だけである。そこで、本研究課題では、イネ由来CRRSPsの分子機構および耐病性の効果を明らかにする。また、高発現しているCRRSP遺伝子配列を交配によりイネ育成品種(ひとめぼれ)に導入し、アポプラスト耐病性強化イネ(非遺伝子組み換えイネ)を創出する。
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研究実績の概要 |
CRRSPs (Cysteine rich repeat secretion proteins) は、DUF26 (Domain unknown function 26) を有するタンパク質であり、広く陸上植物界においてスーパーファミリーを形成している。これまでに、CRRSPs であるイチョウ由来のGnk2はマンノースに結合し、イネ由来のCBMIPはCBM1に結合し、病原菌への耐病性に寄与していることが報告されている。そこで、イネ由来のCRRSPsの耐病性に関する機能を解明し、イネの耐病性育種に利用することを本研究の目的とした。イネ(蒙古稲)から14個のCRRSP遺伝子を単離し、ベンサミアーナタバコ葉においてCRRSPタンパク質の発現を行った。さらに、タンパク質の発現によるベンサミアーナタバコ葉への影響を調べた。その結果、ベンサミアーナタバコ葉において過敏感細胞死を誘導する35kDa のCRRSPタンパク質(35k-CRRSP)を同定した。蒙古稲型35k-CRRSPは分泌シグナルを有することから、アポプラスト(細胞間隙)に分泌されているが明らかとなった。アミノ酸配列の相同性検索を行ったところ、同様のタンパク質は他のイネ品種(ひとめぼれなど)にも存在するが、C-末端部においてアミノ酸配列の違いが認められた。つまり、蒙古稲型35k-CRRSPのC-末端にはひとめぼれ型35k-CRRSPと異なる50個のアミノ酸が存在していた。次に、蒙古稲型35k-CRRSPのC-末端50アミノ酸から成るペプチドをベンサミアーナタバコ葉において発現させたところ、過敏感細胞死が認められた。これらの結果より、蒙古稲型35k-CRRSPタンパク質はアポプラストに分泌され、細胞膜上のレセプター様タンパク質に作用し、過敏感細胞死を誘導していることが推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、イネ由来のCRRSPタンパク質の耐病性に関する分子機構を明らかにし、その作用をイネの耐病性育種に利用することを目的としている。2023年度、イネ(蒙古稲)由来のCRRSPからベンサミアーナタバコ葉において過敏感細胞死を誘導する35kDa のCRRSP(35k-CRRSP)を同定した。さらに、蒙古稲型35k-CRRSPのC-末端50アミノ酸が過敏感細胞死の誘導に重要であることを明らかにした。よって、本研究課題の第1年目としては十分な成果が得られたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
蒙古稲型35k-CRRSPは過敏感細胞死を誘導することが明らかとなったので、蒙古稲型35k-CRRSPと結合するタンパク質の単離同定を試みる。これまでにタンパク質と結合する因子をプルダウン法により同定してきた。これらの知見や経験を活かし、蒙古稲型35k-CRRSPの相互作用因子(タンパク質)の同定を目指す。同時に、2023年度に作製した他のCRRSPsのタンパク質を大量に調製し、これらのタンパク質と結合するイネいもち病菌由来のタンパク質をプルダウン法により同定することを目指す。
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