研究課題/領域番号 |
23K05709
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
園山 正史 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (40242242)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | リン脂質 / 脂質膜 / エーテル型リン脂質 / 古細菌脂質 / 古細菌 / 膜タンパク質 / 環状脂質 / 微生物ロドプシン / エーテル型脂質 / 擬環状脂質 / 生体膜 / フッ素 |
研究開始時の研究の概要 |
膜タンパク質は現代の生物科学における最も重要な研究対象の1つであるが,様々な実験的困難のため,構造・機能の解析が進んでいるものは極めて限られている。in vitro膜タンパク質研究の課題を克服するための要素技術として,テトラエーテル骨格を特長とする新規擬環状脂質からなる人工細胞膜を創製する。 本研究課題で開発する脂質膜構造体は,一方の疎水鎖を分子間架橋し,もう一方の末端には際だった表界面物性を示すパーフルオロアルキル基を導入した擬環状テトラエーテルリン脂質からなり,通常の脂質二分子膜に匹敵する高い流動性を有する一方,安定な膜タンパク質再構成を実現するという特長を有する。
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研究実績の概要 |
既に予備的に進めていた疎水鎖長C14のテトラエーテル型擬環状リン脂質の追加合成をさらにグラムスケールで行うとともに、鎖長を伸長した疎水鎖長C16のテトラエーテル型擬環状リン脂質の合成をグラムスケールで行った。得られた化合物は、ODSカラムを用いたHPLCではシングルピークを示したことから、十分に純度の高い化合物を得ることができた。また、後述する示差走査熱量測定(DSC)からも、非常に純度の高い脂質試料が得られたと考えられる。 さらに、超純水を用いてテトラエーテル型リン脂質を懸濁した試料のDSC測定を行い、脂質膜の熱物性を調べた。その結果、鎖長伸長に伴う吸熱ピークの温度上昇が顕著に見られた。またジエーテル型リン脂質二分子膜との比較から、擬環状化の影響も際立っており、今後、X線回折測定結果を含めて、転移に伴う構造変化と熱力学量の詳細を考察する予定である。 また、一定レベルで確立していた、来年度以降にテトラエーテル型リン脂質膜に再構成する膜タンパク質の発現・精製についてもさらなる検討を行った。それに加えて、最終的な目標であるナノディスクへの再構成についても条件検討を行った。その結果、いくつかの微生物ロドプシンについて、脂質膜への再構成実験に必要な十分な量かつ純度の高い可溶化膜タンパク質試料を得ることに目処が立ち、来年度以降の再構成実験に向けて一定レベルの準備が整った。ナノディスクへの再構成については、用いる膜タンパク質にそれぞれ対応した実験条件の検討がさらに必要な状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
擬環状テトラエーテル型リン脂質の合成は、特に大きな問題も無く順調に進んでいる。C14に加えて、C16の擬環状脂質のDSC測定は順調に進んでおり、再現性も十分に確認できており、鎖長依存的な性質を明らかにすることが可能になりつつある。また、天然由来および大腸菌発現系を利用した複数の微生物ロドプシンの大量調製が可能な状況になっており、膜タンパク質の再構成実験が進みつつある。
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今後の研究の推進方策 |
擬環状テトラエーテル型リン脂質の合成は順調に進んでおり、脂質膜の構造・物性の解析をさらに進めて行くとともに、膜タンパク質機能場としての特徴の解析に力を入れていく。脂質膜の解析については、放射光X線回折実験も利用して、対応するジエーテル型リン脂質二分子膜との比較に基づき、擬環状テトラエーテル型リン脂質膜の熱物性および構造の特徴を明らかにする。また、膜タンパク質を再構成した試料を調製し,再構成膜を構成する擬環状脂質と膜タンパク質の構造・活性・物性との関連性を調べる。
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