研究課題/領域番号 |
23K05715
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
境 祐二 京都大学, 医生物学研究所, 特定准教授 (70631779)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2026年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | オートファジー / オルガネラ / 膜変形 / ソフトマター物理 / 三次元電子顕微鏡 / 形態形成 / 生物物理 / 数理モデル / 膜ダイナミクス / 数理生物 |
研究開始時の研究の概要 |
オートファジーはオートファゴソームを介した細胞内分解システムであり、細胞内恒常性維持にとって重要である。本研究は、『膜の変形といったシンプルな物理現象で、なぜ高度な細胞内分解システムが実現できるのか』といったオートファジーにおける根本的な問いに対して、申請者が独自に開発してきた数理モデルやシミュレ ーションといった数理手法を発展応用させることで解明する。
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研究実績の概要 |
オートファジーはオートファゴソームを介した細胞内分解過程であり、細胞内恒常性維持にとって重要である。オートファゴソーム形成はオートファジーにおける最もダイナミカルな膜変形現象である。このダイナミックなオートファゴソーム形成は基本的なプロセスであるにも関わらず、これまでその特徴的な形態変化は体系的かつ定量的には記述されていないため、オートファゴソーム形成時の特徴的な形態変化の根底にある物理学的基盤はほとんど解明されていない。 本研究では、形成途中のオートファゴソームの形態を三次元電子顕微鏡法により網羅的に調査することで、その平均的な形態を決定し、求めた形態的特徴を物理モデルにより数理解析することで、隔離膜の形態変化の制御機構の力学的解明をおこなった。 まず、三次元電子顕微鏡法によって、100個以上の形成途中のオートファゴソームを網羅的に調査し、その形態の三次元構造を再構築した。得られた形態を、形成過程の順に「ディスク」、「初期カップ」、「中期カップ」、「後期カップ」の4つのステージに分類し、それらを統計解析することで各ステージの標準的形態を決定した。その結果、形成中のオートファゴソームの標準形態は、今まで思われていたような単純な部分円ではなく、縦に細長く伸びたカップ状であり、その縁は外側に反り返ったカテノイド曲面であるという特徴的形態をもつことを定量的に示した。 次に、この形態的特徴を理解するために、膜の曲げ弾性エネルギーに基づく数理モデルを構築した。その結果、得られた数理モデルは、電子顕微鏡法で観察されたオートファゴソーム形成時の形態を定量的に再現することに成功した。この結果は、オートファゴソーム膜は非常に柔軟であり、オートファゴソーム形成中の膜の形態変化は、主に膜の物性に基づく曲げ弾性モデルに従って自発的に決定される安定した経路をたどることを示唆する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究を通して、本申請研究において当初予定していた2つの研究テーマのうち1つである「オートファゴソーム形成時の膜形態変化の力学」が完了したことになる。本研究内容については、論文として出版済みであり、順調に研究が進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本申請研究において当初予定していた2つの研究テーマのもう1つの課題である「選択的オートファジーにおける膜と基質の相互作用」について取り組む予定である。共同研究者の実験結果を定性的に再現する数理モデルを構築しており、今後はこの数理モデルと実験結果との比較を行い、選択的オートファジーの力学的理解につなげる予定である。
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