研究課題/領域番号 |
23K05717
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今元 泰 京都大学, 理学研究科, 准教授 (80263200)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ロドプシン / 光反応 / 構造変化 / オプシン / G蛋白質共役型受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
光で活性化されるG蛋白質共役型受容体(GPCR)はオプシン類と呼ばれ、視覚をはじめとする光生理現象に広く関わっている。脊椎動物の非視覚光受容に関与するメラノプシンは、脊椎動物のロドプシンや錐体オプシンよりも分子系統的に無脊椎動物のロドプシンに近い。脊椎動物が光受容のために高度に進化した視覚オプシン遺伝子を持っているのにも関わらずメラノプシンを利用しているのは、視覚オプシンでは代替できない性質をメラノプシンが持っているためと考えられるが、メラノプシンの分子機能解析は進んでいない。そこで、メラノプシンと視覚オプシンとの相違を明らかにし、メラノプシンが脊椎動物に必要とされる理由を明らかにする。
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研究実績の概要 |
非視覚光受容を仲介するオプシン類であるメラノプシンは、分子進化的に無脊椎動物のロドプシンと近縁であり、光活性化過程でも類似性が示唆されている。本年度は、メラノプシンや頭足類ロドプシンがG蛋白質活性状態に構造変化すると考えられる、ルミロドプシンからメタロドプシンへの変化過程を紫外可視分光で観測するため、超短時間閃光フラッシュ装置を導入した。この装置のパルス幅は150ナノ秒であるが、実際に閃光分解測定装置に組み込み、予備的な実験を行ったところ、数100ナノ秒程度の時間分解能を実現できた。次年度はこの装置を用いて、メラノプシンや頭足類ロドプシンの光反応の解析を行う。 また、イカやタコのロドプシンの光反応過程をメラノプシンの光反応過程と比較するため、同じ条件の低温スペクトル法で解析した。初期過程ではどれも同様のバソ中間体、ルミ中間体が生成したが、メラノプシンのメタ中間体の吸収スペクトルは、タコのメタロドプシンよりもイカのメタロドプシンのものと類似していた。さらに、イカのメタロドプシンの吸収スペクトルがメラノプシンのメタ中間体と同じくグリセロールの影響を大きく受けることがわかった。グリセロールは浸透圧を高める効果があるころから、構造変化に水分子が関与している可能性が示唆された。一方、タコのメタロドプシンの吸収スペクトルはグリセロールの影響を受けないことから、これらのアミノ酸配列の違いから、影響を受ける領域を推測できると期待された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
無脊椎動物ロドプシンの光反応過程の解析や閃光分解装置に超短時間閃光フラッシュ装置を組み込むなど、おおむね順調であると考えられる。しかし、閃光分解測定システムの調整に手間取り、予備的なデータしか得られなかったため、次年度に解析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はメラノプシンのモデルとなる頭足類ロドプシンの構造変化を広角X線散乱や赤外分光で解析し、メラノプシンの構造変化について検討する。また、メラノプシンの光活性測定の準備を進める。
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