研究課題/領域番号 |
23K05722
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43040:生物物理学関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
宮澤 淳夫 兵庫県立大学, 理学研究科, 教授 (60247252)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | アセチルコリン受容体 / 構造解析 / ニコチン性アセチルコリン受容体 / 神経筋接合部 / クライオ電子顕微鏡 / ナノディスク |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、生体内環境に近い状態にあるnAChRの構造と機能を明らかにすることを目的とする。これまでに、nAChRの高分解能構造は、電子線結晶構造解析法や単粒子解析法で解かれてきた。しかしながら、単粒子解析法では、界面活性剤で可溶化するために、生体内脂質環境が失われ、本来の機能構造も損なわれている可能性がある。そこで、生体内で存在している二量体のままでナノディスクに再構成したnAChRの構造と機能を解析する。また、界面活性剤を用いずにポストシナプス膜から直接、二量体nAChRを含む微小膜ディスクを調製し、生体内環境に近い状態にある微小膜ディスク中のnAChRの機能構造を明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度は、単粒子解析を行うために必要なニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の精製とナノディスクへの再構成法の検討を行った。 シビレエイの電気器官は、筋肉に由来した細胞から構成された組織であり、筋肉型のnAChRを豊富に含んでいる。また、電気器官中でnAChRは二量体を形成していると推察されている。そこで、シビレエイの電気器官から膜画分を調製し、二量体を維持した状態でnAChRを、界面活性剤を用いて可溶化・クロマトグラフィーで精製・濃縮する検討を行った。その結果、Triton X-100を用いて可溶化した後、ドデシルマルトシドに置換しながら、アフィニティークロマトグラフィーおよびゲルろ過クロマトグラフィーを行うことにより、単粒子解析に必要な約5mg/mLまで濃縮された二量体nAChRを得ることができた。 ナノディスクに再構成するためには膜足場タンパク質が必要となる。多くの膜足場タンパク質はナノディスクの直径が決まっており、再構成する膜タンパク質によって検討する必要がある。二量体nAChRは再構成面が円ではないことから、柔軟に大きさを変えることが可能なSaposin Aを使用することにした。Saposin Aは、ヒスチジンタグを融合させて組み換え大腸菌で大量発現させ、ニッケルアフィニティークロマトグラフィーを行ってタグを除去後、ゲルろ過クロマトグラフィーで精製することにより、再構成に十分な量のSaposin Aを得ることができた。様々な濃度と比率で、二量体nAChRとSaposin Aを、脂質、Bio-Beadsと共にインキュベートし、ナノディスクへの再構成を試みた。種々の条件検討を行った結果、多数の二量体nAChRをナノディスクに再構成できたことがゲルろ過クロマトグラフィーおよびネガティブ染色後の電子顕微鏡像から確認することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
単粒子解析を行うためには、5mg/mL程度の、高純度に精製され、かつ高濃度に濃縮されたタンパク質が必要である。膜タンパク質は特に、高濃度に濃縮すると凝集するケースも多く、分散性の良い安定性の高いタンパク質を得られることが構造解析を行う上で鍵となる。2023年度は、単粒子解析を行うために必要なnAChRの精製とナノディスクへの再構成法の確立を目標とした。シビレエイの電気器官からnAChRを大量精製することができ、さらにSaposin Aを用いたナノディスクへの再構成法についても検討を行い、単粒子解析に必要量のnAChRを含むナノディスクを得ることができたため、おおむね順調に進んでいると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
Saposin Aを利用してナノディスクに再構成し、濃縮した二量体nAChRを氷包埋してクライオ電子顕微鏡で状態を観察する。解析に適した高分解能な画像が得られると判断出来次第、単粒子解析を開始する。単粒子解析のためのクライオ電子顕微鏡での撮影は、研究協力者(東京)の保有している最新のクライオ電子顕微鏡を使用する。何らかの理由で高分解能解析に繋がるデータが得られなかった場合、可溶化、精製およびナノディスクへの再構成方法について再び検討を行う。 また、ナノディスクへ再構成したnAChRの単粒子解析と平行して、nAChRの機能に関わっていることが生理学的研究から明らかにされている内在性周辺脂質(コレステロール、酸性脂質)やrapsynをはじめとしたnAChR結合タンパク質が結合した状態でのnAChRの構造解析を目指す。Saposin Aおよび両親媒性物質を用いて、シビレエイ電気器官のポストシナプス膜からnAChR、結合脂質、結合タンパク質を含む「微小膜ディスク」の調製法を検討する。微小膜ディスクに含まれるnAChRの数、微小膜ディスクのサイズによって、単粒子解析、またはクライオ電子線トモグラフィーを利用して微小膜ディスク中のnAChRの構造解析を行う。微小膜ディスクについても撮影は、研究協力者の保有しているクライオ電子顕微鏡を使用する。そして、微小膜ディスク中におけるnAChRの3つの機能状態(静止状態、活性化状態、脱感作状態)の構造、リン脂質やコレステロールとの相互作用、nAChRの足場タンパク質であるrapsynやdystroglycanなどの結合タンパク質の会合状態と機能的な役割を明らかにする。
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