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左右非対称なメタクローナル波によるVolvoxのユニークな遊泳パターンの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K05725
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分43040:生物物理学関連
研究機関宇部工業高等専門学校

研究代表者

島袋 勝弥  宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (70618446)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
キーワードVolvox / 繊毛 / メタクローナル波 / 高速イメージング / メタクローナル / 高速 / 非対称
研究開始時の研究の概要

真核生物の繊毛は協調的に動き、流体の流れを作り出す。この繊毛運動の協調性はメタクローナル波と呼ばれ、微生物の遊泳や気道における異物排出などの役割を持つ。Volvoxも繊毛メタクローナル波を利用して遊泳するとされる。しかし、これまでの手法は物理的に固定されたVolvoxの実験から得られており、Volvox遊泳とメタクローナル波の実際の関係は推測の域を出ていない。本研究では高速かつトランススケールな手法で自由遊泳するVolvox個体とその繊毛メタクローナル波を同時観察し、Volvoxが左右非対称なメタクローナル波で推進力を得ており、それが遊泳制御にも重要な役割を果たすことを明らかにする。

研究実績の概要

本年度に購入した高速マシンビジョンカメラを制御するアプリを開発した。このアプリにより、録画データから動画の切り出し、時間トリミング、そして撮影動画のマ落ち検証が可能になった。従来型の高速カメラとは異なり、接続PCのメインメモリに直接データ保存が可能となり、従来の10倍以上となる20秒間での高速撮影と撮影データの保存時間を大幅に短縮できた。
このマシンビジョンカメラを用いて、Volvoxの繊毛運動の高速撮影を行った。今回は繊毛運動を長時間観察するために、Volvox個体を2枚のカバーガラスで軽く挟み込み、移動できない状態に固定化した。その結果、遊泳Volvoxと同様に個体の左右で繊毛メタクローナル波が非対称であることが確認された。しかも、その非対称性は10秒の撮影時間維持されていた。これは、繊毛メタクローナル波が常に左右非対称であることを強く示唆する結果である。また、繊毛の動きだけではなく、Volvox繊毛が作る流れを微小ビーズの動きから解析した。Volvox個体周辺の流れも左右非対称であり、鞭毛運動の非対称性と合致した。
高速イメージングの実験と並行して、力測定の実験を進めている。現在はプローブの選別を進めており、ばね定数0.15 N/m程度、三角形の形状のものが感度と物理的な安定性に優れていると判断した。また、プローブのより細かな調整を可能にするため、試料台をxyzの3軸ステージ型に変更し、実験の利便性を向上させた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、4年間で以下の3つのプロジェクトを進めていく。a) Volvox繊毛運動の高速イメージング、b) Vovlox推進力の直接測定、c) 光がVolvox遊泳に与える影響
a) と c) のプロジェクトを効率的に進めるために、高速かつ秒単位での撮影環境を整える必要があった。 本年度に高速マシンビジョンカメラを入手し、そのアプリ開発を速やかに終えたことで、早くもa) と c) のプロジェクトで結果が得られ始めている。b) のプロジェクトについても着実に進展している。 力測定系の原型は本研究開始より前にできあがっていたが、市販の顕微鏡を転用したシステムであり、使い勝手と検出感度に難があった。本年度は顕微鏡部分を光学素子に置き換えた。そのため、実験系全体がコンパクトとなり、卓上型除振台に収まるようになった。感度も著しく向上し、これまでは検出が難しかったプローブの共振周波数も容易に得られるようになった。

今後の研究の推進方策

研究は順調に進展しており、計画通りに進めている。ハード面、ソフト面ともに研究遂行に必要な環境が整った。次の年度は、以下の2つの目標を達成することに重点を置く。
データ数の増加:データ数を増やすことで、Volvoxの運動解析の精度と信頼性を向上させることができる。そのため、実験条件をさらに多様化し、より多くのデータを取得する必要がある。
画像解析法の洗練化:画像解析法を洗練させることで、Volvoxの運動をより詳細に解析することができる。具体的には、従来の画像処理手法に加え、AIツールの利用を検討する。我々の予備解析では、生き物の姿勢検出に使われる層学習モデル「DeepLabCut」がVolvoxの運動解析にも応用できそうであることが示唆されている。そのため、従来の解析手法に囚われることなく、積極的に最新のAIツールの導入を進めたい。
さらに本年度は、力測定系を完成させる。力測定系は、Volvoxがプローブと相互作用する際に発生する力を測定するための装置である。力測定系の完成には、以下の2つの課題を解決する必要がある。
変位電圧変換係数(InvOLS)の決定:InvOLSは、力測定系における重要なパラメータであり、正確な力測定を行うために必要である。電動移動ステージとピエゾステージはすでに準備されているため、早急にInvOLSを決定する必要がある。
Volvoxがプローブに衝突する様子の3次元的な捉え方:Volvoxがプローブに衝突する様子を3次元的に捉えるためには、2つのカメラでプローブを別角度から同時撮影する必要がある。この観察系を完成させることで、Volvoxとプローブ間の相互作用をより詳細に理解することができる。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 2本の繊毛を持つVolvox細胞の力測定2023

    • 著者名/発表者名
      山口瑠太、島袋勝弥
    • 学会等名
      日本生体エネルギー研究会第49回討論会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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