研究課題/領域番号 |
23K05729
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43050:ゲノム生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 卓 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (80744870)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | トランスポゾン / 脱抑制機構 / エピジェネティクス / DNAメチル化 / ゲノム進化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、Arabidopsis属をモデルとし、ゲノム進化におけるトランスポゾンが持つ脱抑制機構の寄与を解析する。シロイヌナズナ近縁種の脱抑制機構を調べるために、ゲノム編集によりA. kamchaticaのDNA低メチル化変異体を作成する。また、DNA低メチル化変異体と近縁種の種間雑種を作成し、DNAメチル化解析とトランスクリプトーム解析により、それぞれの種における脱抑制機構を持つトランスポゾンファミリーを網羅的に同定する。脱抑制機構を持つトランスポゾンファミリーについて、各ゲノムにおける増殖を比較することで、ゲノム進化におけるトランスポゾンが持つ脱抑制機構の寄与を解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
トランスポゾンは真核生物のゲノムの主要な構成因子であり、ゲノム進化に貢献してきたことが考えられる。近年、シロイヌナズナのVANDALと呼ばれるトランスポゾンが持つ脱抑制機構が同定された。この機構は、通常はエピジェネティックな修飾により不活性化されているトランスポゾンを特異的に活性化する機構であり、VANDAL内部にコードされる脱抑制因子VANCにより誘導される。脱抑制機構を持つトランスポゾンは、自己を特異的に活性化することができるため、ゲノムが拡大する際にも効率的に転移することが考えられるが、その進化的な動態は未解明である。本研究は、トランスポゾンが持つ脱抑制機構がゲノム進化にいかに寄与してきたのかを、Arabidopsis属植物を用いて解明することを目指している。 本年度はシロイヌナズナとA. lyrataの種間雑種でのメチロームデータの解析を行い、シロイヌナズナが持つ脱抑制因子VANCのA. lyrataゲノムへの影響を調べた。A. lyrataについては、研究に用いているMN47系統でセントロメアを含む詳細なゲノム情報が公表され、それを元に完全長のVANDALを同定した。このうち、A. lyrataのVANDAL21(AlVANDAL21)については、脱抑制能を持つコピーを同定した。また、脱抑制機構が活性化したシロイヌナズナのddm1との種間雑種に加え、各脱抑制因子を個別に発現させた系統との種間雑種も作成した。これらについては、今後メチロームとトランスクリプトーム解析を行い、個々の脱抑制因子の標的を決定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画で予定していた実験は概ね遂行できた。A. lyrataの詳細なゲノム配列が公開されたため、VANDALファミリーのトランスポゾンの同定については予想を超えて進捗した。AlVANDAL21についてはクローニングとシロイヌナズナへの形質転換も行い、脱抑制能を持つコピーも同定できた。当初の予定のうち、A. kamchaticaの形質転換いついては植物の開花までに時間がかかり、形質転換に至らなかったが、若干遅れたものの形質転換用の植物が育ちつつあり、近く形質転換を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに作成した種間雑種を用いてメチロームおよびトランスクリプトーム解析を行う。AlVANDAL21のシロイヌナズナへの形質転換体も作成済みであり、この形質転換体についてもメチローム解析等を進める。 A. kamchaticaのDNA低メチル化変異体作成についてもゲノム編集用のコンストラクトの準備ができており、植物体が育ち次第形質転換を行う。
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