研究課題/領域番号 |
23K05747
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
篠田 夏樹 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (30838397)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | カスパーゼ / カスパーゼ基質 / 非細胞死性の機能 / 近接依存性標識法 / TurboID / ショウジョウバエ |
研究開始時の研究の概要 |
細胞死実行因子カスパーゼは細胞死を超えて多くの生理機能を発揮する. しかし, なぜカスパーゼが細胞を殺すことなくその他の生理機能を発揮することができるのか, その分子基盤は未だ明らかでない. 研究代表者はカスパーゼの非細胞死性の活性化を制御する近接タンパク質を同定し, 「カスパーゼは反応場を形成することで非細胞死性の活性化及び機能の発揮を可能とする」との作業仮説を構築した. 本研究ではカスパーゼが成す反応場の要素及び非細胞死性の機能の発揮を介在する選択的基質を包括的に同定する. 同定した分子群の動態を理解し, 細胞を殺すことなく, その他の生理機能の発揮を可能とする分子基盤の理解を目指す.
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研究実績の概要 |
これまでの自身の近接依存性標識法TurboIDを用いた研究から,「カスパーゼは反応場を形成することで非細胞死性の活性化及び機能の発揮を可能とする」との作業仮説を構築していた. 本研究ではカスパーゼが成す反応場の要素及び非細胞死性の機能の発揮を介在する選択的基質を同定することを目指している. 2023年度は, ショウジョウバエ実行カスパーゼDcp-1とDriceそれぞれのカスパーゼに嗜好性高く近接するタンパク質リストの中に, 自身がショウジョウバエにおける新規カスパーゼ基質であると同定していたBubR1が存在することを見出した. 具体的には, BubR1はDriceに近接していた. そこで, BubR1がDriceによって切断されやすい可能性を検討した. 具体的には, ショウジョウバエ培養細胞であるS2細胞にBubR1を発現し, 同時にDcp-1, Driceのそれぞれをノックダウンすることで, どちらのカスパーゼによって切断されやすいかを検討した. その結果, BubR1はたしかにDriceによって切断されやすいことを見出した. 以上の結果は, 反応場において近接タンパク質は非細胞死性に切断されやすい可能性を支持する. 以上の結果を, これまでに得ていたBubR1切断不全変異体ショウジョウバエ系統の表現型解析結果とまとめ, The FEBS Journal誌に論文を発表した. 以上の結果から, 近接タンパク質リストにはそれぞれのカスパーゼに嗜好性高く切断される基質がたしかに存在する可能性が支持された. そこで, 引き続き得られたリストの中から, カスパーゼの基質の探索を行った. 具体的には, S2細胞に近接タンパク質を発現し, アポトーシスを誘導することでカスパーゼによる切断可能性を検討した. しかし, これまでに検討したタンパク質については, 新規基質を発見できなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度では, 自身がショウジョウバエにおける新規カスパーゼ基質であると同定していたBubR1の, カスパーゼ近接タンパク質としての性質の解析を通して, 反応場において近接タンパク質は非細胞死性に切断されやすい可能性を支持する結果を得られた. また, これまでに得ていた結果も含めてその成果を論文として発表することができた (DOI: 10.1111/febs.16811). 一方で, 得られたリストの中から, これまでに検討したタンパク質については, 新規基質を発見できなかった. 以上の結果を総合し, 本研究課題はおおむね順調に進展していると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の結果から, 近接タンパク質リストにはそれぞれのカスパーゼによって嗜好性高く切断される基質がたしかに存在する可能性が支持された. また, ショウジョウバエ培養細胞であるS2細胞においてDcp-1, Driceのそれぞれをノックダウンすることで, どちらのカスパーゼによって切断されやすいかを簡便に検討する実験系の構築にも成功した. そこで, 引き続き得られたリストの中から, カスパーゼの基質の探索をより範囲を拡張して実施する. 基質を同定した場合は, 構築した実験系を用いてどちらのカスパーゼによって切断されやすいかを評価する. 並行して, 既に構築した切断嗜好性を簡便に評価する実験系を応用し, 当初の研究計画で計画していたSubtiligase-MSを実施することで, カスパーゼ基質のリストを得る. 近接タンパク質リストと基質のリストを照らし合わせ, それぞれのカスパーゼによって嗜好性の高く切断される基質の包括的な同定を目指す.
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