研究課題/領域番号 |
23K05755
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
|
研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
林 真理子 昭和女子大学, 生活機構研究科, 准教授 (30525811)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | アストロサイト / 神経細胞 / グルタミン酸トランスポーター |
研究開始時の研究の概要 |
アストロサイトは多数の突起で神経シナプスにアプローチして、神経伝達物質や栄養源物質を輸送し、神経細胞をサポートしている。神経細胞は、より良い働きをするようアストロサイトの成熟を促し、神経細胞のサポート機能を獲得させる。 本研究では、アストロサイトの成熟を促す神経細胞からのシグナルの実体を明らかにすることを主目的とする。そして、アストロサイトが複雑な分岐を形成して神経シナプスを認識するまでの細胞間/細胞内シグナル伝達経路を解明していく。
|
研究実績の概要 |
CRISPR-Cas9による遺伝子破壊のためのアデノ随伴ウイルスにガイドRNAを設計して組み込み、神経系細胞の初代培養に添加して遺伝子破壊を行った。2週間の培養でアストロサイトに突起を形成させたのちに固定し、Cas9に融合したエピトープタグに対する抗体による染色と、アストロサイトの膜タンパク質に対する抗体による染色を行い、ウイルスが感染した細胞に特異的にアストロサイトの分枝形成やタイリングの異常がみられるもののスクリーニングを進めている。これまでに二百余のアストロサイト特異的に発現する膜タンパク質をコードする遺伝子を破壊するガイドRNAを組み込んだアデノ随伴ウイルスを用いてスクリーニングを行い、三十余りの候補遺伝子に絞りこんだ。これらは神経細胞とアストロサイトのクロストークに関与するか、アストロサイトの突起同士が互いを避ける現象に関わってタイリング現象に関与するものと考えられる。同じファミリーに属する複数の遺伝子産物が関与している可能性を想定し、より明確な表現型を得るために、アストロサイトにおける発現量が多い別のサブタイプを候補遺伝子に追加した。そして、それぞれの候補遺伝子について、合計2種類ずつ遺伝子破壊のためのガイドRNAを設計し、遺伝子を2箇所で切断して完全に遺伝子破壊できるようにした。これと並行して、異なるガイドRNAをもつ複数の組み換え体アデノ随伴ウイルスを同時に感染させた場合、複数の遺伝子を同時に破壊できるかについても調べ、ポジティブな結果を得ている。これらの候補遺伝子産物について、抗体を用いた細胞内局在の確認と、遺伝子破壊による発現低下の評価を開始している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
神経細胞との混合培養に含まれるアストロサイトに対してアデノ随伴ウイルスを用いてCRISPR-Cas9による遺伝子破壊に基づくスクリーニングを行い、アストロサイトの突起の伸長や分岐、タイリング現象など形態的な成熟に影響がある三十余りの遺伝子に絞り込むことができた。そして、これらの候補遺伝子と同じファミリーに属する別のサブタイプの遺伝子のうち、アストロサイトにおける発現量が最も高いものを候補に加えた。確実に遺伝子破壊するため、それぞれ二種類の遺伝子破壊のためのガイドRNAを設計し、これらのガイドRNAを組み込んだアデノ随伴ウイルスを作成した。免疫染色により、アストロサイトでの発現はみられるか、遺伝子破壊の結果として遺伝子産物の発現低下がみられるか、について確認を進めている。また、このような戦略で複数の遺伝子を同時に破壊することが可能か予備実験を行い、3種類の遺伝子を一つの細胞で同時に破壊できることを確認できた。
|
今後の研究の推進方策 |
スクリーニングにより絞り込んだ遺伝子産物がアストロサイトと神経細胞との相互作用や、アストロサイトの突起同士が互いを避けタイリングを起こす過程にどのように関わっているかについて解析を進めていく。神経細胞との混合培養を行ったアストロサイトや、単独培養のアストロサイトについて、候補遺伝子の遺伝子産物に対する抗体を用いた免疫蛍光染色を行い、高解像度で観察して神経細胞/アストロサイトにおける細胞内局在や、アストロサイトの分枝形成の過程における発現量の変化を調べていく。またCRISPR-Cas9による遺伝子破壊で、これらの遺伝子産物の発現量の低下が実際に起こっているかを確認する。複数の遺伝子を同時に破壊できることを受けて、同じファミリーに属する複数の遺伝子、また別のファミリーに属しアストロサイトの形態に類似の、または異なる影響を与える複数の遺伝子を同時に破壊して、アストロサイトの形態に与える影響を調べていく。
|