研究課題/領域番号 |
23K05763
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
市川 壮彦 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 特任助教 (10462201)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 原子間力顕微鏡 / 焦点接着斑 / ナノ内視鏡AFM / 劣勢多発性嚢胞腎 |
研究開始時の研究の概要 |
焦点接着斑(FA)は細胞と細胞外基質を接着する構造体であり形態維持や細胞移動にとって必須であるがその詳細な構造や形成過程は未だ不明である。本研究では申請者らが開発してきた原子間力顕微鏡を用いて生細胞内を観察する「ナノ内視鏡法」を用いてFAの構造及び形成・分解過程を明らかにする。さらに、FAに異常が見られる劣勢多発性嚢胞腎(ARPKD)症モデル細胞におけるFA構造・形成過程と比較しその異常形成メカニズムを明らかにすることによって未だ治療法のないARPKDの創薬に必要な情報を得ることを目的とする。
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研究実績の概要 |
焦点接着斑(FA)は細胞と細胞外基質を接着する構造体であり形態維持や細胞移動にとって必須だけでなくシグナルセンターとしても機能する重要な器官であるがその詳細な構造や形成過程は未だ不明である。本研究では申請者らが開発してきた原子間力顕微鏡(AFM)を用いて生細胞内を観察する「ナノ内視鏡AFM」を用いてFAの構造及び形成・分解過程を明らかにする。さらに、FAに異常が見られる劣勢多発性嚢胞腎(ARPKD)症モデル細胞におけるFA構造・形成過程と比較しその異常形成メカニズムを明らかにすることによって未だ治療法のないARPKDの創薬に必要な情報を得ることを目的とする。 2023年度はナノ内視鏡AFMを用いて生細胞中のFA観察データを得ることに成功した。市販の探針(240AC-NG, OPUS)を焦点イオンビーム装置を用いて掘削することにより長さ7 - 9 um、直径150 - 200 nmの探針を作製した。Paxillin-YFPを発現するマウス胎児線維芽細胞の蛍光像からFAの場所を特定し作製した探針を用いて3次元スキャンモードでAFM観察を行ったところ、FAと思われる構造体のタイムラプスライブイメージングに成功した。先端部分を拡大すると100 - 300 nm程度の構造体が島状に点在している様子が観察できた。また、タイムラプスのデータからFAを起点としてアクチン繊維が伸長する過程を観察することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ナノ内視鏡AFM法は新規の技術であるため、アクチン繊維以外の細胞内構造体を観察することが可能であるかどうか不明であった。しかし、2023年度の研究によりこれまでに開発してきた方法と同様の方法で生細胞内の焦点接着斑が観察可能であることが明らかになった。これにより、生細胞内の焦点接着斑のタイムラプス動画を撮影することに成功し、同様の手法が他の構造体観察にも応用可能であることが明らかになったため。
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今後の研究の推進方策 |
より高分解能で長時間の焦点接着斑観察を行うことにより焦点接着斑の形成から崩壊までの過程を詳細に明らかにする。焦点接着斑構成分子であるVinculinをノックアウトした細胞を作製し、Vinculinが焦点接着斑形成とアクチン繊維の結合にどのように関わるのかを明らかにする。また、微小管の重合が焦点接着斑形成を阻害することが報告されているため、微小管重合阻害剤を用いることにより微小管が焦点接着斑形成に及ぼす影響について明らかにする。さらに、ARPKDにおける焦点接着斑形成を観察するために短鎖干渉RNA (siRNA)を転写するプラスミドベクターを用いてARPKDの原因遺伝子産物であるFibrocystin/Polyductin (FPC)をノックダウンしたMDCK細胞を作製する。(siRNA配列: W. Ziegler et al. Int J Mol Sci 2020、ベクター作製: VectorBuilder社)。ARPKDモデル細胞における焦点接着斑と正常MDCK細胞における焦点接着斑の構造・形成過程を比較することによりARPKD患者の細胞で起こっている焦点接着斑形成異常メカニズムを明らかにする。
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