研究課題/領域番号 |
23K05772
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
山本 美紀 (日野美紀) 立教大学, 理学部, 特定課題研究員 (40301783)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 核ラミナ / 網目構造 / ラミンの網目構造 |
研究開始時の研究の概要 |
ラミンは、核二重膜の内膜の核質側を裏打ちする均一な網目状の構造体であり、多くの蛋白質やクロマチンと結合して核の様々なイベントを制御している。ラミンの重要性はよく知られているが、ラミンの網目構造の均一性が、重要かどうかは全く明らかでない。申請者らは「ラミンの網目構造の均一性」を司る分子を世界で初めて発見した。その分子、PIGBの変異体では、ラミンやその結合蛋白質の凝集、クロマチン構造の変化、骨格筋構造にも異常が認められ、ラミンの網目構造の均一性が核や細胞の機能を制御している可能性が示唆された。そこで本研究では、「均一な核ラミナの網目構造」の意義を世界で初めて検証することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究課題では、(1) 核ラミンの均一な網目構造が形成されるメカニズムの解明 (2) ラミンの均一な網目構造の重要性の解明 (3)哺乳動物で、ラミン分布の均一性に関わる分子の同定を目指している。本年度は主に、(1)(3)について研究を実施した。 (1)については、ショウジョウバエにおいて、まずラミンの均一な網目構造の維持に重要な役割を果たすPIGBと、ラミンの両方に相互作用する分子を、プロテオミクス解析によって探索した。その結果、Lamin B receptorやOtefinなどの候補分子が得られた。それらの分子をノックダウンしてラミンの局在を検討したが、ラミンの局在は正常であった。したがって少なくともプロテオミクス解析で明らかになった相互作用分子の中には、PIGB-ラミンの複合体を介して均一な網目構造の形成に影響を与えるものはないと考えられた。 (3)については、哺乳動物でラミンの網目構造形成に必要な分子を同定するために、疾患を引き起こす変異ラミンのうち、網目構造が異常になっている変異ラミンL489Pと、正常ラミンの間で結合が変化している分子の同定を試みた。その結果、Barrier-to-autointegration factor(BANF1)とラミンの結合が低下していることが明らかになった。BANF1はラミンとクロマチンの両方に結合し、核の様々な機能を調節している分子である。また、別の試みとして、核膜に局在する様々な膜蛋白質をノックダウンして、ラミンの網目構造に影響を与える分子があるかどうか、検討を行った。その結果Sphingomyelin phosphodiesterase 4 (Smpd4)のノックダウンによって、核膜の構造に異常が生じていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)についてはラミンとPIGBと複合体を形成してラミンの網目構造に影響を与える分子を見つけることはできなかったが、(3)に関してはBANF、Smpd4などの候補分子を得ることができた。また(2)についてもクロマチン構造を調べるための準備が進行しているので、概ね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、哺乳動物でラミンの均一な網目構造に影響を与える候補分子であるBANF、Smpd4を中心として、これらがどのようにラミンの均一な網目構造の形成と維持に関与しているのか、明らかにする。またその異常によって、核の機能やクロマチン構造にどのような影響があるのか、検討を続けていく予定である。
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