研究課題/領域番号 |
23K05778
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
浅岡 美穂 筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 研究員 (40370118)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 生殖細胞 / 幹細胞 / 幹細胞ニッチ / ショウジョウバエ / 卵巣 |
研究開始時の研究の概要 |
生殖幹細胞とは、卵や精子などの配偶子を生み出す幹細胞である。多くの動物では、生殖幹細胞を持つことにより、配偶子の継続的な産生が保障されている。生殖幹細胞は、発生過程において、その元となる始原生殖細胞の一部から形成されるが、幹細胞となる始原生殖細胞が選択される機構については殆ど解析がなされておらず不明な点が多い。ショウジョウバエ卵巣では、幼虫期の終わりに体細胞から分泌されるDppシグナルを受け取る始原生殖細胞のみが生殖幹細胞になることが明らかにされている。本研究では、申請者が最近発見した新規間質細胞に注目して解析を行い、幹細胞となる始原生殖細胞が選択される機構を解明する全く新しい研究を展開する。
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研究実績の概要 |
多くの動物において、生殖幹細胞は配偶子の継続的な産生を支えている。発生過程において、生殖幹細胞はその元となる始原生殖細胞の一部から形成されるが、幹細胞となる始原生殖細胞が選択される機構については殆ど解析がなされておらず不明な点が多い。ショウジョウバエ卵巣では、幼虫期の終わりに卵巣前部にある体細胞からニッチシグナル(Dppシグナル)が分泌され、それを受け取る始原生殖細胞(PGCs)のみが生殖幹細胞になることが明らかにされている。しかし、Dppを受け取るPGCsの多くは シグナル産生細胞から離れた位置にあり、それらはDppを受け取らず卵細胞への分化を開始するPGCsと混在しているため、Dppが一部のPGCsのみに運搬される機構は不明である。本申請者は近年、このシグナル産生細胞とPGCsの間にある間質細胞の一部で発現し、その機能が生殖幹細胞の形成に必要な新規膜タンパク質としてPatch paste (Pap) を同定した。本研究は、このPap発現細胞とPapに注目し、その機能を明らかにすることで、Dppを受け取るPGCsが選択される機構の解明を目指して開始した。 今年度は、まずPapタンパク質の発現とDppを受け取るPGCsの位置的関係を細胞レベルで明らかにすることを試みた。これまでにPapタンパク質に対する抗体の作成を幾度と試みたが、それらは感度が低く、細胞レベルでの解析には不十分であった。そこで、免疫組織化学法の条件を検討し、改良を行った。その結果、Papは一部の間質細胞の細胞膜で発現するという結果の再現が得られた。さらに、Pap発現細胞は非常に細い細胞突起をPGCとPGCの間に伸長しており、その細胞突起の表面で強く発現することが明らかになった。これらPapの発現部位と接するPGCがDppを受け取る細胞であるかを、下流遺伝子 リン酸化Madの発現により確認中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リン酸化Mad(P-Mad)に対する抗体も検出感度が低く、シグナルを増感して検出する。しかし、この増感反応の条件が抗Pap抗体の染色条件に合わないため、2つのシグナルを同時に検出するのが非常に難しいことが研究過程で明らかになった。そのため、本年度は抗体染色の反応条件の検討に注力することになり、当初の予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
P-Mad抗体と抗Pap抗体の二重染色の条件検討を引き続き進める。また、別の方法として、Papタンパク質にGFPタグを入れるノックイン系統の作成をし、Pap-GFP融合タンパク質とP-Madの二重染色により両者の位置関係を調べることも試みる。現在、ノックイン系統を作成中である。これらにより問題を解決できると考えている。 近年、卵巣のsingle cell-RNA Sequence解析により、PGCの周りに複数の間質細胞が存在することが示唆された。今後は、まず、これら細胞のマーカー系統を用いて、Papがいずれの間質細胞で発現するのかを解析する。その上で、それら細胞でのみGal4遺伝子を発現するドライバー系統を用いて、dpp receptorやexocyte-dependent secretory vesiclesに関わる因子の機能を特異的にノックダウンし、Pap発現細胞がトランスサイトーシスによりDppを運ぶ可能性を調べる予定である。
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