研究課題/領域番号 |
23K05779
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
齋藤 貴子 静岡大学, 農学部, 助教 (10778038)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 受精 / 卵子 / 精子 / 自家不和合性 / ホヤ / 細胞間認識 |
研究開始時の研究の概要 |
新しい個体を生み出す、つまり受精を成立させるために、ほぼ全ての生物が多大な労力を費やして有性生殖を行う。その戦略の一つとして雌雄同体の形態をとる生物がある。雌雄同体は有利に働く場面もある一方で、有性生殖の利点を失う自家受精という危険性も隣り合わせている。そこで固着性の雌雄同体生物ホヤは、精子と卵子が自己と非自己を識別して自家受精を回避する自家不和合性機構を独自に獲得した。本研究では、研究代表者らが同定した自他認識分子がどのように自己と非自己を識別するのか、そして自己と認識された精子がどのように排除されるのか、その分子機構を解明し生殖医療や発生工学への発展を目指す。
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研究実績の概要 |
雌雄同体であるカタユウレイボヤは、自家受精を防ぐための自家不和合性を有している。精子と卵子は自他認識を行うことで自己の精子を拒絶するが、この自他認識は精子に発現する遺伝子s -Themis-A/B/B2と卵黄膜に発現するv-Themis-A/B/B2によって制御されている。これらの遺伝子は多型に富んでおり、多型領域によって自他認識が可能となる。自己と認識した精子は、細胞外からのCa2+流入によって自己認識シグナルを誘導し、運動性及び受精能を失う。本研究では、分子多型による鍵と鍵穴の仕組みと自己認識シグナルの伝達機構を生化学・分子生物学的に検討し、構造生物学で証明することで、配偶子間認識機構を発達させたホヤの受精機構の全貌解明を目標としている。最終的には、ホヤの自家不和合性をモデルとして、生物に普遍的に備わる配偶子間の細胞認識機構の新たな概念の確立を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
様々な条件の人工海水に卵子と自己または非自己の精子を加え、卵割より受精率を算出した。その結果、低濃度のMg2+、K+条件でも自家不和合性が機能していたことから、自己認識シグナルは主に細胞外のCa2+に依存すると示唆された。また、受精卵の卵割開始時間について調査した結果、自家受精卵は他家よりも卵割開始が遅れる傾向にあった。自家不和合性にMg2+、K+濃度、精子濃度は影響しないことが示されたが、低Ca2+濃度条件下での精子は自他認識を突破しても自己認識シグナルが低レベルで働き、卵黄膜通過に時間を要している可能性が挙げられた。このように自家不和合性の機構解明に向けて前進している。
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今後の研究の推進方策 |
精子運動の高速撮影とカルシウムイメージングを行い、自家不和合性分子Themisが自己認識した際のシグナル伝達経路の解析を精力的に行う。また、Themisの分子多型による鍵と鍵穴の仕組みと自己認識シグナルの関連性を示す。
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