研究課題/領域番号 |
23K05783
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
竹内 隆 鳥取大学, 医学部, 教授 (70197268)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 組織比率 / 尾長比 / 尾再生 / Hox / イモリ / 尾形成 / Hox13 / 組織サイズ比 |
研究開始時の研究の概要 |
有尾両生類の多くは生涯、尾椎を尾端から追加する。一方、これらの動物は尾を再生できる。そのため、この平常時の尾部追加現象は尾再生との関連が示唆される。最近、私たちはHox13変異体イモリが異常に尾部を追加することを発見した。本研究では、この変異体イモリを用いて、平常時で尾部を追加するしくみを明らかにする。ついでその不活化により、この機構が尾の再生にどれだけ、また、どのように使用されているかを検証する。本研究から (1) 多くが謎である尾再生機構の詳細の解明、 (2) 平常時の成体で稼働している生理的な機構が付加再生においても活用される初めての例になること、が期待される。
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研究実績の概要 |
Hox13変異体成体イモリ(以下、変異体)の尾は異常に伸長し、最大で頭胴長の3倍に至る(野生型は約1倍)。その原因は尾椎数の増加にある。その詳細を解析し、今年度、以下の結果を得た。
1. 野生型、変異体いずれにおいても尾端に軟骨棒があり、そこから尾椎が追加される。しかし、変異体の軟骨棒は野生型のものに比べ、太くて長く、尾椎の追加スピードは20倍程度速い。 2. 野生型の尾再生時には1と同様に軟骨棒から高速に尾椎が追加されるが、そのスピードは変異体とほぼ等しい。
以上の結果から尾長率維持と尾再生のしくみとして次の仮説を立てた。Hox13は尾端において軟骨棒の伸長とそこからの尾椎形成の速度がゆるやかになるように調節をし、尾長比を維持する。尾端の切断によりHox13の発現が失われ、軟骨棒の伸長と尾椎形成が高速に進行し、尾再生が行われる。尾再生中にHox13の発現が復活し、尾椎追加が適切な時期(失われた尾椎数に達する時期)に終了する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度の成果は変異体の尾長伸長異常の仕組みの解明に大きく貢献したこと、尾再生との相関が強く示されたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
Hox13の尾長比維持および尾再生との相関をより深く解析するために、以下を行う。 1. 野生型、変異体それぞれの尾端および野生型尾再生芽についてRNAseqを行なっていて、その解析を行う。すでに初期的成果として変異体の尾端と野生型尾再生芽の両者で野生型尾端に比べ共通して増減する遺伝子が多数見つかり、この二つのトランスクリプトームが非常に似ていることが判明している。これを詳細に解析する。 2. 野生型、変異体それぞれの尾端および野生型尾再生芽について組織学的解析を行い、1の結果と合わせ、どのような細胞がどのように軟骨棒の伸長に関わるかを明らかにする。 3. 野生型の尾切断後にHox13を発現させ、尾再生が阻害されるか否かを検証し、Hox13の一過的な消失が尾再生を引き起こすという仮説を検証する。
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