研究課題/領域番号 |
23K05801
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐々木 武馬 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (60759497)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 細胞質分裂 / 微小管 / 紡錘体 / 微小管付随タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞分裂は全ての生物に共通する根源的な生命現象です。しかしながら、植物細胞の分裂様式には独自の進化が認められます。動物細胞では中心体は紡錘体形成や染色体の分配等、細胞分裂に欠かせないのに対し、植物は陸上進出前に中心体を失っており、ほとんどの陸上植物では細胞分裂中に中心体は観察されません。本研究では陸上植物の進化の歴史を遡り、原始的な陸上植物であるタイ類ゼニゴケの細胞分裂過程を解析しています。そのなかで、紡錘体の形成や紡錘体の配向維持に関わる微小管構造を発見しました。本研究ではこの微小管構造の解析を中心に進め、陸上植物細胞に独自の細胞分裂様式の理解を目指します。
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研究実績の概要 |
細胞分裂は、すべての生物にとって根源的な生命現象です。なかでも植物の細胞分裂には興味深い独自の進化が認められます。動物の細胞では、中心体は紡錘体の形成や染色体の適切な分配に働く重要な構造です。一方で、植物は進化の過程で中心体を失っており、多くの陸上植物では細胞分裂中に中心体が存在しません。にもかかわらず植物は安定した細胞分裂を達成しています。この中心体を欠く細胞分裂メカニズムの理解にはまだ知見が不足しており、さらなる研究が必要です。
本研究では、特に原始的な陸上植物の特徴を持つゼニゴケと、モデル被子植物のシロイヌナズナを用いて、植物がどのように独自の細胞分裂を実現しているか解析しています。私たちは、これらの植物の細胞分裂過程で共通して機能する微小管構造を特定しました。この構造は、形成初期の紡錘体の軸の向きを決定する、つまり動物の中心体に相当する役割を果たしている可能性が想定されました。本研究ではこれらの解析を特に細胞分裂過程の微小管構造のライブイメージング観察および細胞生物学的な解析を進めています。
以上の解析により植物の非中心体性細胞分裂様式の制御機構の一端の理解を目指しています。植物細胞分裂のメカニズムの一端を解明することは、細胞分裂の普遍的な原理や多様性の理解に貢献します。特に、中心体を欠く植物細胞の細胞分裂機構の解析は、細胞分裂の進化的適応や多様化に関する洞察を深めることができると考えています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究では、ゼニゴケとシロイヌナズナのProphase段階で核膜周囲に形成される「Prospindle」と称される微小管構造が、紡錘体軸の制御に関与していることを発見しました。これに基づき、Prospindleの形成過程及びその機能について解析を進めています。現時点で、Prospindle形成を促進する2つの主要因子を特定しました。
1つ目は陸上植物に特有な微小管付随タンパク質CORDです。CORD遺伝子の機能欠損変異体では、Prospindleが多極化し、結果的に紡錘体の軸が傾きます。またゼニゴケのProspindleの形成過程では核膜の極においていくつもの微小管核の融合が観察されますが、CORD遺伝子の機能欠損変異体ではこの微小管核の融合がうまく進まないことが分かってきました。現在は、CORDの分子的な特性を明らかにすることによりProspindle形成時のCORDの役割を探っています。またCORD遺伝子 機能欠損変異体の解析によりProspindleの役割をゼニゴケとシロイヌナズナの両方を用いて進めるとともに、紡錘体軸制御への寄与を解析しているところです。2つ目は微小管モーターのキネシンです。このキネシンの機能欠損変異体では、核膜上の微小管核が核膜の極に運ばれない表現型が確認されました。このことからこのキネシンはProsindle形成時の微小管核の輸送に働いていると考えています。
今後はこれら因子の解析を中心に、植物におけるProspindleを用いた非中心体性の細胞分裂機構に関して理解を深めていきます。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きCORDおよびキネシンの解析をゼニゴケおよびシロイヌナズナを用いて行っていきます。今後はライブイメージング観察に加え、In vitoroでの解析を交えつつ、各因子の分子特徴の解析を進め、Prospindle形成過程への寄与を探っていきます。
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