研究課題/領域番号 |
23K05803
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
石田 喬志 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 准教授 (00462656)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 植物分子生物学 / メリステム / 翻訳後修飾 / SUMO |
研究開始時の研究の概要 |
Small Ubiquitin-related Modifier (SUMO)によるタンパク質の翻訳後修飾は植物を含む真核生物の多様な生理現象の制御を担う。しかし、SUMOがどのようなタンパク質を修飾し、メリステムの活性制御を行っているかは未解明である。申請者は先行研究でメリステム制御に関わるSUMO化タンパク質を網羅的に取得し、根端メリステム制御のカギ転写因子PLETHORA (PLT)を取得した。本研究ではこのPLTに着目し、SUMO化による翻訳後修飾システムとの関係性を検証し、その制御メカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
本研究は植物の根端メリステムのマスター転写因子であるPLETHORA(PLT)に着目し、翻訳後修飾であるSUMOによる機能制御の分子メカニズムを解明することを目標とする。特に、PLTとクロマチンリモデリング因子との相互作用をSUMOが仲介することを仮説とし、その具体的な因子を解明してその動作原理を理解する。転写因子はクロマチンリモデリング因子との協調的な動作が重要だが、PLTに対応する因子は未解明のため本研究により同定する。 本年度は主に今後の試験を遂行するための基盤形成に注力した。時間を要するステップではあるが、この段階を成功裏に進めたことにより今後の研究計画が順調に推移することが期待できる。 具体的には、研究遂行に必要なコンストラクトの作成と動作の確認を行った。SUMO化PLTと相互作用する因子を定量的LC/MS解析によって網羅的に同定するため、ビオチンリガーゼの断片をPLTとSUMOそれぞれに繋いだ融合タンパク質を発現する人工遺伝子を作成した。これをシロイヌナズナのそれぞれの突然変異体に導入し、変異形質を相補することから機能的な配列であることを確認した。次年度以降はこの形質転換植物体試験系統を確立して解析を行う予定であり、計画通りの準備を整えられたと考えている。 また、PLTからSUMO化機能を除いた場合(SUMO-null型)の転写制御活性への影響を調査するためのtransactivation assayの準備を行った。プロトプラスト発現用のコンストラクトを作製し、狙い通りに動作することを確認した。次年度以降はこのコンストラクト群を用いて解析を行う予定であり、計画通りの準備を整えられたと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、先行研究の成果より申請者が考案した「SUMOは根端分裂組織のカギ転写因子PLTとクロマチンリモデリング因子の相互作用を仲介し転写活性制御を行う」仮説の検証である。本年度は実験に必要となる試料の作成に取り組んだ。 SUMO化PLTと相互作用する因子を定量的LC/MS解析によって網羅的に同定し、転写制御複合体のかたちを解明することを目標に、形質転換体の準備を行った。PLT2とSUMO1のC末にビオチンリガーゼの断片をそれぞれ融合させたコンストラクトを作製し、突然変異体に導入してレスキューしたことから、内生のPLT2、SUMO1と同様に機能的であることを確認した。今後、この形質転換植物体を用いて解析を行う予定であり、計画通りの準備を整えられたと考えている。 PLTからSUMO化機能を除いた場合(SUMO-null型)の転写制御活性への影響を調査するためのtransactivation assayの準備を行った。PLTの標的候補遺伝子3種についてアッセイ用のコンストラクトを作製した。また、PLT2についてもプロトプラスト発現用のコンストラクトを作製し、狙い通りに動作することを確認した。今後、このコンストラクト群を用いて解析を行う予定であり、計画通りの準備を整えられたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までの研究により、今後の実験に必要となる試料の準備が整いつつある。次年度はまず、SUMO化PLTと相互作用する因子の探索のために作成している形質転換体の選抜と系統確立を目標に研究を行う方針である。Single insertionで機能的な配列を保有する形質転換系統を確立する。これらの系統を用いてSUMO-ID実験を行い、SUMO化の候補となるビオチン化タンパク質群を取得する。取得したタンパク質群をLC/MS解析に供し同定する。 SUMO化PLTの転写制御活性を試験するtransactivation assayに必要となる試料の準備が整いつつある。次年度以降は、プロトプラストを用いたtransactivation assayによりPLT2の転写活性試験を行う方針である。続けて、SUMO-null型PLT2を用いたtransactivation assayによりPLTからSUMO化機能を除いた場合の転写制御活性の変動を明らかとする。 加えて植物体においてPLTの標的遺伝子の中からSUMO化に影響されるものの探索と生理機能の解析を行う方針である。PLT2及びSUMO-null型PLT2の誘導的発現を行うコンストラクト及び形質転換植物体を作成する。試験系統を確立した後に、inducerの存否条件でmRNA-seq解析を行い、標的遺伝子及びその下流で発現制御を受ける遺伝子群を比較することで明らかとする。両条件において違いが観察された候補遺伝子については変異体種子をストックセンターから取得し機能解析を行う計画である。
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