研究課題/領域番号 |
23K05817
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44030:植物分子および生理科学関連
|
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
波間 茜 (久保田茜) 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (70835371)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | 花成 / 温度応答 / 概日時計 |
研究開始時の研究の概要 |
花成は、栄養成長から生殖成長への切り換えであり、花成ホルモンをコードするFT 遺伝子の発現によって誘導される。これまでの実験室条件では、FTの発現は夕方に1回のみであり、これを前提として基礎・応用研究が進められてきた。しかし申請者らは、野外条件においてFTは朝夕の2回発現することを明らかにした。また、朝に発現するFTは日中温度の上昇によって促進されることや、これに関わる主要な転写因子を複数単離した。そこで本研究では、申請者が独自に確立した野外条件の再構成系を用いることで、高温特異的な朝FTの制御機構を明らかにする。
|
研究実績の概要 |
季節変化に伴う気温上昇は、花成をはじめとする植物の様々な生理応答を変化させる。シロイヌナズナの花成ホルモンをコードするFLOWERING LOCUS T (FT) 遺伝子の発現は、野外環境では朝方に高発現しており、これには前日の高温シグナルが重要であることが示唆されている。代表者らは、高温シグナルがFTの転写活性化因子であるCOとbHLH転写因子のタンパク質蓄積量を増加させることで、翌朝のFT遺伝子の発現および花成時期を促進する可能性を見出した。さらに、温度別時系列トランスクリプトーム解析と変異体解析を用いた解析により、朝FTの誘導にはCO-bHLHを介した経路に加え、サリチル酸を介した免疫シグナルが関与する可能性を見出した。これらの結果から、高温が複数の制御経路を介して朝FTの発現を制御する可能性が示唆された。これらの結果から、高温が複数の制御経路を介して朝FTの発現を制御する可能性が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COとPIF7に関連する形質転換体の作出が概ね完了し、表現型解析に移ることができた。また、CO-PIF7以外に朝FTを制御するシグナル伝達経路の存在も見出しつつある。クロマチンループ構造の実験に関してはやや遅れているものの、初年度の進捗としては概ね順調に進んでいると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
CO-bHLHの複合体形成によってCOの転写活性がどのように変化するかを明らかにする。まず、クロマチン免疫沈降実験によりCOのFT遺伝子座周辺へのDNA結合能の温度・時間依存的な変化を野生株及びbhlh変異体背景で比較する。すでにCOとbHLHの双方が結合する場所を特定しているため、この部分を中心に、常温及び高温でCOのDNA結合能がbhlh変異体背景で低下する可能性を検証する。また、bHLHがCOの翻訳後制御に関与する可能性についても検討する。これまでにbHLHタンパク質は特に高温下で相互作用因子による翻訳後制御・活性制御を受けることが明らかとなっている。COに対しても同様の制御機構が存在し、bHLHがその制御に関与する可能性をウェスタンブロッティングにより解析する。 一方でco bhlh二重変異体においても、高温による花成促進効果は一部残されていたことから、これら以外の因子が高温下の花成促進に関与する可能性が残された。そこで現在、野生株における温度別時系列トランスクリプトーム解析を用いて高温特異的なFT制御因子の単離を目指している。高温の朝特異的に発現が上昇する転写因子のうち、維管束組織特異的な過剰発現株でFTの発現が上昇する因子を10~20程度絞り込むことに成功した。今後これらの形質転換体の詳細な表現型解析を進めることで高温を介した花成制御機構の全容解明を進める
|