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色素体のストロミュール形成における小胞体とオートファジーの役割の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K05820
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分44030:植物分子および生理科学関連
研究機関琉球大学

研究代表者

伊藤 竜一  琉球大学, 理学部, 准教授 (50322681)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワードストロミュール
研究開始時の研究の概要

高等植物において,葉緑体以外の色素体(非緑色色素体)は,ストロミュールと呼ばれる細管状構造を活発に形成する.ストロミュール様の構造は19世紀後半から観察報告があるものの,未だにストロミュール形成の分子機構は不明である.本計画はストロミュール形成へのER及びオートファジーの関与を検証するとともに,「なぜストロミュールは非緑色色素体で活発に形成されるのか?」という疑問への解答を得ることを目指す.

研究実績の概要

高等植物において、プラスチドは、「ストロミュール」と呼ばれる細管状構造を活発に形成することが知られている。ストロミュール様の構造は19世紀後半から観察報告があるものの、いまだにストロミュール形成の分子機構の詳細は解明されていない。申請者は、葉表皮でストロミュール形成が過剰なシロイヌナズナ変異体、suba1 と suba2 を取得した(Itoh et al. 2018, 2021)。そのうち suba1 変異体の原因遺伝子は、小胞体(ER)からプラスチドへの脂質輸送に関与するTGD5タンパク質をコードしていた。また、同変異体の孔辺細胞では、葉緑体の分解と、液胞への顆粒状構造の取り込み(オートファジー)が示唆された。本計画は、suba1変異体から得たこれらの知見に基づき、ストロミュール形成へのER及びオートファジーの関与を検証するものである。上記目的を達成するため、今年度は以下の実験を進めた。 (1) オートファジーのコアマシナリーを担うタンパク質(コアATGタンパク質)をコードする遺伝子(コアATG遺伝子)のシロイヌナズナ変異体に、プラスチドストロマ移行シグナルを融合した蛍光タンパク質 (GFP) を発現するコンストラクトを導入した。(2) 上記(1)で作成した、ストロマ移行GFPを発現する各atg変異体とsuba1変異体とをかけ合わせ、二重変異体を作成した。(3) suba1変異体に、ER lumen移行シグナルを融合した蛍光タンパク質 (CFP) を発現するコンストラクトを導入した。(4) TGD5以外のTGDタンパク質をコードする遺伝子のシロイヌナズナ変異体に、プラスチドストロマ移行シグナルを融合したGFPを発現するコンストラクトを導入した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

年度当初の本年度の研究実施計画は、以下の2つに大別される。(A) シロイヌナズナ遺伝子組換え植物ラインの整備。コアatg変異体、tgd変異体、suba1変異体に関して、蛍光タンパク質(GFP, CFPなど)発現によるプラスチドまたはERの可視化ラインを作出し、以後の蛍光顕微鏡解析のための一連の材料を揃える。(B) 新たな植物実験系として、ミナトカモジグサ(Brachypodium distachyon)を導入する。上記のうち、(A) に関しては、作出が完了していないラインも一部あるものの、概ね予定通り作出できており、また、未取得のラインも2024年度の早い時期に取得できる見込みである。いっぽう (B) については、ミナトカモジグサの生育および予備観察の過程において、この植物種が我々のプラスチド観察実験系においてはやや取り扱いが難しい材料と判断された。そのため、(B) については当初予定を中止し、シロイヌナズナをベースとする実験系に注力することとした。このような当初予期していなかった方針変更はあったものの、(A) がほぼ予定通り進行していることから、現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と自己評価する。

今後の研究の推進方策

今後の主な研究計画は以下の通りである。(1) atg変異体における(特にペーブメント細胞および孔辺細胞の)プラスチドの形態とダイナミクスを、蛍光顕微鏡および透過型電子顕微鏡を用いて明らかにする。(2) atg suba1二重変異体、tgd変異体についても、(1) と同様の観察を進める。(3) suba1変異体におけるストロミュールとERの位置関係を蛍光顕微鏡によって解析することにより、両オルガネラの関連をさぐる。(4) ERを破壊した際にプラスチドおよびストロミュールの形態とダイナミクスがどのように変化するかを蛍光顕微鏡によって解析し、ER-プラスチド間相互作用がプラスチドのバイオジェネシスに及ぼす影響を調べる。

報告書

(1件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] The tgd5 Mutation Affects Plastid Structure and Causes Giant Lipid Droplet Formation in Trichomes of Arabidopsis2024

    • 著者名/発表者名
      Matsuoka Kanae、Kubotera Hiroko、Miyazaki Rina、Moriyama Shota、Fujiwara Makoto T.、Itoh Ryuuichi D.
    • 雑誌名

      International Journal of Plant Biology

      巻: 15 号: 1 ページ: 46-53

    • DOI

      10.3390/ijpb15010004

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Spatiotemporal characteristics determining the multifaceted nature of reactive oxygen, nitrogen, and sulfur species in relation to proton homeostasis2024

    • 著者名/発表者名
      Yamasaki H, Itoh RD, Mizumoto KB, Yoshida YS, Otaki JM, Cohen MF
    • 雑誌名

      Antioxidants and Redox Signaling

      巻: -

    • DOI

      10.1089/ars.2023.0544

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Tubular extensions of plant organelles and their implications on retrograde signaling2023

    • 著者名/発表者名
      Itoh Ryuuichi
    • 雑誌名

      Journal of Biological Research - Bollettino della Societ? Italiana di Biologia Sperimentale

      巻: 96

    • DOI

      10.4081/jbr.2023.11724

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] オオカナダモの異型細胞形成の研究:細胞小器官の構造について2024

    • 著者名/発表者名
      藤原誠,小林永実,河野杏奈,金澤美加子,平野智也,阿部知子,伊藤竜一
    • 学会等名
      日本生物教育学会第108回全国大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] シロイヌナズナの孔辺細胞形成時における葉緑体の増殖と分配2023

    • 著者名/発表者名
      宮﨑梨菜,窪園雅人,鈴木麻央,佐藤志保,石川浩樹,佐々木駿,風間裕介,阿部知子,伊藤竜一,藤原誠
    • 学会等名
      日本農芸化学会関東支部2023年度大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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